30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/04(木) 23:35:07.79 ID:WsBRUpo9o
「っと、アルバムを見るはずだったのに話し込んじゃいましたね。続き、見ましょうか?」
「うん」
舞園さんは僕の両手から手を離し、再びアルバムのページを捲っていく。各クラス紹介を抜けると、活動風景のコーナーが目の前に広がった。
部活動や委員の仕事の一場面、授業中の光景や各学校行事など、三年間分の様々な場面の写真が、何ページにも渡って一杯に敷き詰められている。
「舞園さん、やっぱり写真でも目立ってるよね」
「そうですか?」
「うん。ほら、どの写真でも中心にいるし」
舞園さんが映っている写真の数々を指差していく。流石といった所か、舞園さんは写真に映っている数が他の人よりも断然多い。
それでいて、映ってない他の写真よりも一段と華を感じさせる。周りの皆が取り分け楽しそうに笑顔を浮かべてるのも、少なからず舞園さんが影響してるんだと思う。
「私は別に端でも良かったんですけど、皆が中心を勧めてきましたから……。それに私からしたら、苗木君の方が目立って見えますよ?」
「ほ、本当?」
「はい! 何度も見たからってのもあるんですけど、どこに映ってるのかすぐに分かります。まずはほら、二組の授業中の写真は左端のここですね」
クラス紹介のページの時みたいに、写真に収まっている僕を的確に指差す。
「文化祭の写真は右の方に、この調理実習の写真だと真ん中に。それから全体写真は後ろの方、ですっ」
そうやって、舞園さんは次々と僕の姿を指差していった。こんなにすらすらと見つけられるなんて……それも、何度も見てくれてたお陰なんだよな。
三年間の僕の姿を思い浮かべながら見てくれてたんだろうか。
「そうそう、私と苗木君が一緒に映ってる写真があるの、知ってます?」
「え……? そんな写真、あったっけ?」
「まあ、一緒に映ってるって言っていいのかは分かりませんけど……ほら、この写真です。修学旅行での一枚ですね」
「あ……ホントだ」
修学旅行で行ったテーマパークで、舞園さんが友達と、それからピンク色のウサギのマスコットキャラクターの着ぐるみと、並んで一緒に映っている一枚。
その右端に、小さい上に正面も向いてないけど確かに僕も映っていた。
(そう言えば……)
あの時、舞園さん達のグループが写真を撮る所を遠目に見ていた覚えがある。
でもこの写真に僕も映っていたなんて、舞園さんに言われて今初めて気づいた。舞園さんばかりに目が行ってたから……。
「あの時苗木君、後ろの方にいたんですね。気づかなかったです」
「僕は舞園さんがいたの、気づいてたよ。やけに人だかりが出来てたから、すぐに分かった」
「そうだったんですか? んー……もっとタイミングが良かったら、苗木君が正面を向いた写真を撮れてたかも……」
「はは、そうかもね」
まあ、一緒に映ってただけラッキーだ。こんな写真でも僕にとってはすごく嬉しい。
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