64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:31:25.40 ID:DL0z8tZuo
「懐かしいな」
「……ヘビメタですか?」
「そうだね。正統派ヘヴィメタル」
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2014/12/20(土) 07:31:51.12 ID:DL0z8tZuo
「……そう言えば、プロデューサーさんはクイーンは好きですか?」
「まあ、好きかなぁ。佐久間さん、好きなの?」
「忍ちゃんに教えてもらって……」
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2014/12/20(土) 07:33:20.04 ID:DL0z8tZuo
「ポリスだと……トゥルース・ヒッツ・エブリバディが好きだな」
「私はソーロンリー、あとエヴリ・ブレス・ユー・テイクも好きです」
「『見つめていたい』かぁ。あいつも好きだって言ってた」
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2014/12/20(土) 07:34:08.57 ID:DL0z8tZuo
「編み物は?」
プロデューサーさんは傍に置いた赤いマフラーを指差した。
「工藤さんも、喜ぶと思うよ」
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:34:52.70 ID:DL0z8tZuo
「着いたよ」
プロデューサーさんの声にはっとなって、私は目を上げた。
いつの間にか、事務所の傍にある駐車場へ車が停まっていた。
シートベルトを外して助手席から降りると、冷たい空気に抱きすくめられる。
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:35:40.01 ID:DL0z8tZuo
「気をつけて。疲れてるのかな」
「す、すみません……ありがとう、ございます……」
ドキドキなんて穏やかなものではなく、私の胸は激しく鼓動した。
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:36:32.73 ID:DL0z8tZuo
プロデューサーさんは書類のコピーをデスクに置くと、傍へ立って説明を始めた。
「来月、期末テストが終わってから春休み入るよね。
春休み期間にレッスンスタジオ抑えたんで……これスケジュールなんだけど」
71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:36:58.87 ID:DL0z8tZuo
彼の言ったことをちゃんと意識したのは、事務所を出て、夜に身体が冷えてからだった。
歌うのは好き。でも、誰かに聴いてもらうなんて、夢にも思わなかった。
きっと、彼が私の歌を最初に聴いてくれるのだろう。
肩に、支えてくれた感触が、ぽんと叩いた感触が、
72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:37:35.96 ID:DL0z8tZuo
――――
シャリシャリ、クルクル――ベッド傍のスピーカーから響くリズムに合わせて、
忍ちゃんの手指は器用にりんごを剥いた。
73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:38:31.51 ID:DL0z8tZuo
「誕生日プレゼントがりんごっていうのもお母さんらしいけど、こんなに一人で食べられないって」
「まあ、そうだね」
傍に開けてあるダンボールの中には、いっぱいに赤いりんごが詰まっている。
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