66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:33:20.04 ID:DL0z8tZuo
「ポリスだと……トゥルース・ヒッツ・エブリバディが好きだな」
「私はソーロンリー、あとエヴリ・ブレス・ユー・テイクも好きです」
「『見つめていたい』かぁ。あいつも好きだって言ってた」
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:34:08.57 ID:DL0z8tZuo
「編み物は?」
プロデューサーさんは傍に置いた赤いマフラーを指差した。
「工藤さんも、喜ぶと思うよ」
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:34:52.70 ID:DL0z8tZuo
「着いたよ」
プロデューサーさんの声にはっとなって、私は目を上げた。
いつの間にか、事務所の傍にある駐車場へ車が停まっていた。
シートベルトを外して助手席から降りると、冷たい空気に抱きすくめられる。
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:35:40.01 ID:DL0z8tZuo
「気をつけて。疲れてるのかな」
「す、すみません……ありがとう、ございます……」
ドキドキなんて穏やかなものではなく、私の胸は激しく鼓動した。
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:36:32.73 ID:DL0z8tZuo
プロデューサーさんは書類のコピーをデスクに置くと、傍へ立って説明を始めた。
「来月、期末テストが終わってから春休み入るよね。
春休み期間にレッスンスタジオ抑えたんで……これスケジュールなんだけど」
71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:36:58.87 ID:DL0z8tZuo
彼の言ったことをちゃんと意識したのは、事務所を出て、夜に身体が冷えてからだった。
歌うのは好き。でも、誰かに聴いてもらうなんて、夢にも思わなかった。
きっと、彼が私の歌を最初に聴いてくれるのだろう。
肩に、支えてくれた感触が、ぽんと叩いた感触が、
72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:37:35.96 ID:DL0z8tZuo
――――
シャリシャリ、クルクル――ベッド傍のスピーカーから響くリズムに合わせて、
忍ちゃんの手指は器用にりんごを剥いた。
73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:38:31.51 ID:DL0z8tZuo
「誕生日プレゼントがりんごっていうのもお母さんらしいけど、こんなに一人で食べられないって」
「まあ、そうだね」
傍に開けてあるダンボールの中には、いっぱいに赤いりんごが詰まっている。
74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:39:04.13 ID:DL0z8tZuo
耳付きのりんごまで食べて二人分の皿が空になると、忍ちゃんは伸びをした。
「んー、テストのあとは開放感があるね」
「私たちは、これから忙しくなるけど」
75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:39:31.21 ID:DL0z8tZuo
「それって、もしかして」
「シングルCDの曲を歌わせてもらえるかもって、プロデューサーさんが……」
忍ちゃんは一瞬あっけに取られたように口を開けた。
142Res/83.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。