93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:51:28.43 ID:DL0z8tZuo
「これって、運命ですよね……」
私は左手の時計を右手でそっと覆った。すべての謎が解けたような気がした。
嘘の強がりも、なにかに怯えたことも、彼が意味を作っていた。
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2014/12/20(土) 07:52:00.65 ID:DL0z8tZuo
――――
朝、制服を着て、革靴を履いて、それからやっと春休みの終わったことに気がついた。
夢の中にも時間は在るのかしら。
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2014/12/20(土) 07:52:27.11 ID:DL0z8tZuo
「あっ、おはよーまゆちゃん!」
「おはよう、忍ちゃん」
「クラス分け、見た?」
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2014/12/20(土) 07:53:03.07 ID:DL0z8tZuo
体育館で簡単に始業式をしたあと、平常通りに授業が行われた。
四時間目の授業が終わると、忍ちゃんはいそいそと私の机の向かいへ椅子を持ってきた。
「授業日数の確保とは言うけどさ、なんか雰囲気ないよね」
97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:53:30.00 ID:DL0z8tZuo
「まゆちゃんは今日、放課後レッスンあるの?」
「今日はナシ。プロデューサーさん、引っ越しがあるからって……」
「引っ越し? そっか、引っ越すんだ」
98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:53:59.74 ID:DL0z8tZuo
「やめときなよ」
「……どうして?」
「どうしても」
99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:54:43.48 ID:DL0z8tZuo
きっと、忍ちゃんはプロデューサーさんのことが好きなんだ。
ぼきりとシャープペンの芯が折れて、ノートに黒いしぶきを飛ばした。
吹くと、さらさらと形を変えながら、黒い煙は消えて行った。
100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:55:12.88 ID:DL0z8tZuo
背中に冷たい感覚が伝う。二人に出し抜かれたような、気がした。
二人して、私を笑っているのかしら。顔がかあっと熱くなる。
忍ちゃんの方へ目を向けると、偶然か、彼女も私の方を見ていた。
はっと、目を伏せる。目を伏せた先に左手の時計が静かに秒針を回していた。
101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:55:43.05 ID:DL0z8tZuo
休み明けのその日から、忍ちゃんとはギクシャクしてしまっている。
表面上は仲良くできているはずだけれど、お互いに少しピリピリしていて、学校に居る間はなんとなく憂鬱だ。
あれ以来、プロデューサーさんの話はしないけれど、お互いに牽制し合っているような気がした。
プロデューサーさんのことが好きなのかと、忍ちゃんに聞くタイミングは、時間の下流の方へ流されて行った。
102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:56:30.12 ID:DL0z8tZuo
「私のこと、『まゆ』って呼んでくれませんか」
「別に構わないけど……」
「……まゆを置いてかないで下さいね」
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