99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:54:43.48 ID:DL0z8tZuo
きっと、忍ちゃんはプロデューサーさんのことが好きなんだ。
ぼきりとシャープペンの芯が折れて、ノートに黒いしぶきを飛ばした。
吹くと、さらさらと形を変えながら、黒い煙は消えて行った。
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2014/12/20(土) 07:55:12.88 ID:DL0z8tZuo
背中に冷たい感覚が伝う。二人に出し抜かれたような、気がした。
二人して、私を笑っているのかしら。顔がかあっと熱くなる。
忍ちゃんの方へ目を向けると、偶然か、彼女も私の方を見ていた。
はっと、目を伏せる。目を伏せた先に左手の時計が静かに秒針を回していた。
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2014/12/20(土) 07:55:43.05 ID:DL0z8tZuo
休み明けのその日から、忍ちゃんとはギクシャクしてしまっている。
表面上は仲良くできているはずだけれど、お互いに少しピリピリしていて、学校に居る間はなんとなく憂鬱だ。
あれ以来、プロデューサーさんの話はしないけれど、お互いに牽制し合っているような気がした。
プロデューサーさんのことが好きなのかと、忍ちゃんに聞くタイミングは、時間の下流の方へ流されて行った。
102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:56:30.12 ID:DL0z8tZuo
「私のこと、『まゆ』って呼んでくれませんか」
「別に構わないけど……」
「……まゆを置いてかないで下さいね」
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2014/12/20(土) 07:57:00.55 ID:DL0z8tZuo
――――
その日は予報が外れて、午後から雨が降り出した。
天気が予報を裏切ったのか、それとも逆か。
104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:57:27.32 ID:DL0z8tZuo
「もしもし、プロデューサーさん」
「……まゆ、どうしたの」
彼に名前を呼ばれると、思わず頬が緩んでしまう。
105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:58:04.64 ID:DL0z8tZuo
「じゃあ、迎えに行くよ」
「そんな、悪いです」
いかにも申し訳なさそうな声を出すけれど、嬉しくてしょうがなかった。
106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:58:48.61 ID:DL0z8tZuo
はっきりと私を責めているのが分かった。
私は鞄を抱えて、忍ちゃんの傍を通り過ぎた。
教室を出ると湿った空気が少しだけ冷たかった。
プロデューサーさんの車はすぐに学校へ来てくれた。
107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:59:27.79 ID:DL0z8tZuo
「少なくとも、僕はまゆのファンだよ」
彼はそう言って、にこっと笑った。
笑い返そうとしたところで、彼の手に光る銀色に私は凍りついた。
彼は左手の薬指に指輪をしていた。
108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:59:57.06 ID:DL0z8tZuo
――――
夢うつつの波打ち際で、私は渚を見つめていた。
色のない空と海が遠くで太陽に焦がれている。
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