12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:17:38.02 ID:bTDiL5Hz0
いや……。そういえば。
俺はポケットからそれを取り出す。昨日偶然拾ったそれを。
「俺も持ってるんだ」
13: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:18:41.62 ID:bTDiL5Hz0
「いやいや、いいんだよ。お二人とも、お幸せにね」
「だから、そんなことはなくてですね――折木さんも何か言ってくださいっ」
14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:19:32.52 ID:bTDiL5Hz0
「千反田さん、ケータイの登録はしたかな?」
思い出したふうに里志が言う。
携帯電話の登録? 自転車の防犯登録みたいなやつか?
15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:20:14.29 ID:bTDiL5Hz0
「あの、福部さん。携帯電話の登録ってなんでしょうか?」
おずおずと千反田が尋ねる。
16: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:21:07.34 ID:bTDiL5Hz0
「最近の携帯電話ってのは多機能なんだよ、ネットにつなげたり、カメラもついてる」
「それくらいわかる。バカにするな」
17: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:22:21.68 ID:bTDiL5Hz0
咄嗟に席を立った。最早条件反射といってもよい。
「あ、違うんです折木さん。携帯電話のことで聞きたいことがあって……」
その後の古典部の活動は、千反田に携帯電話の使い方を教える時間となった。メール、電話、カメラといった基本的な事項を教え終わったころ、完全下校のチャイムが鳴る。
18: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:24:23.54 ID:bTDiL5Hz0
「なんだと」
件の本屋の前で、俺は驚愕していた。なんと夜中の内に、飲酒運転の車が本屋に突っ込んだそうなのだ。「KEEPOUT」の黄色いテープが張られ、当然中に入ることは無理である。
ガラスの破片こそ目立たないが、細かいものは道路に散乱している。シャッターで店内を確認することはできない。恐らく酷い有様なのだろう。
19: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:25:39.81 ID:bTDiL5Hz0
次の日、また生徒が襲われた。またも女子生徒で、塾からの帰り道をやられたという。
二人目、しかも連日でとなると、ちょっとした騒ぎどころでは済まない。記者は取材に来るし、全校集会もあった。警察も聞き込みに来ていたらしい。
「物騒ですね……」
20: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:26:18.59 ID:bTDiL5Hz0
農家ネットワークのトップにいるのが千反田家だ。考えてみれば確かに、リーダーとしての仕事がこの時期に重なるのかもしれない。
どのような仕事をしているのか、俺には想像もつかない世界だ。農家と言えば年がら年中土と触れ合うばかりのイメージしかないが、それだけで作物が売れるなら、みんな農家になっていることだろう。
「大変だ」
21: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:27:12.84 ID:bTDiL5Hz0
「……」
「……」
そのまま十秒もたっぷり待って、慌てて千反田が立ち上がった。
22: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:29:22.30 ID:bTDiL5Hz0
「……何がだ」
最早抵抗する気をなくした俺は、ならば可能な限り省エネにと、進んで千反田の先を促す。
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