1:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:14:53.39 ID:KvG+T8iK0
某年12月31日
「全く、なんだってこんな日に橙子の所に行かなきゃならないんだ」
曇天の天候ではあるものの街中での人の量はいつもよりも増している。
雑踏の中、人々は各々の考え事をしながらそれぞれの行く場所へと向かっているだろう。
例えば来年の目標や、今夜の献立なんかだ。私なんかは橙子が仕事を最近回さないのでそのことについてイラついてはいる。
人それぞれ考えることは全く別なのに、この日だけは家へと帰っていく。
生物の帰巣本能という奴だろうか。だとしたら堅苦しくて、家から抜け出した私が今から行く場所が家となってしまうのは少し釈然としない。
幹也の所へ行こうとしたが鮮花にまた難癖つけられるのを思うと、年末だってのに嫌な気分にされてしまう。
だから私は行く宛先のない迷い猫の様になってしまったのだ。いや、行くあてはあるがあまり行きたくはない。
しかし、時間を潰す先もこれと言って他に当たる先はない。
ならば、決まりと思い、いつもの着なれた道を進み目的の場所へと歩を進めていたのだった。
そしてこう愚痴を脳内で零しているうちに辿り着いた。
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2:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:18:53.85 ID:KvG+T8iK0
「おい、橙子いるか」
「んー、なんだ式か。今日は休みだぞ」
3:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:20:44.15 ID:KvG+T8iK0
「家は堅苦しくて嫌なんだ。幹也の所へ行ってもよかったが、鮮花に噛みつかれるのはのは嫌だからここに来た」
橙子は口から煙草を離し、背もたれに背中を任せて天井を向いて煙をゆっくりと吐いていく。
4:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:21:59.91 ID:KvG+T8iK0
「式。人ってのは何のために年を迎えるんだろうな」
いつも通り素っ頓狂な質問をしてきやがった。
5:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:24:09.69 ID:4OaaFOLAO
空の境界とは珍しい
6:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:24:15.97 ID:KvG+T8iK0
どうやらこちらの意図を察してくれたらしい。黒桐だったらもうちょっと付き合ってやっただろう。アイツは誰に対しても虫がよすぎるんだ。
「だからな、ここの事務所の名前は『伽藍の堂』だぞ。こんなにも年末を迎えるのにふさわしい場所はないと思わないのか?」
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