59: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:11:13.72 ID:uP2qnu460
「ようやく落ち着いたかい。でっかいのは陽気な事だねエ」
「エエ、どうも失礼致しました。それで、貴方は……?」
「俺の事ナンゾ、ドウだって良い事さね。ソンナ事を覚えていたって、脳髄にとっちゃア迷惑な話さ」
60: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:13:39.82 ID:uP2qnu460
「つまりネ、君。忘れちまったモノを思い返そうとするナンテ、馬鹿のやる事なのだよ」
「ハハア、そういうものですか」
「さよう……スッカリ忘れちまったのだろう?」
61: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:16:01.86 ID:uP2qnu460
「サテ、俺の言いたい事がわかるかい?」
「エッ? ……イ、イエ……全く……」
「フウム、少し難しいかい」
62: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:17:34.50 ID:uP2qnu460
「だからネ、忘れるからには、キッカリと忘れちまわないといけないよ」
「ハア……」
「でっかいのは言ったね。覚えているのは、ほんの少しだと」
63: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:19:22.81 ID:uP2qnu460
「スッカリキッカリ消しちまわないといけないんだ。小さな脳味噌を守るために、でっかいのは戦わないといけないんだよオ……」
「そうです……そうですねエ……」
「消さないと」
64: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:20:57.80 ID:uP2qnu460
「であらば、綺麗に消さないとねエ……」
「ハア……」
「愛らしい顔が残っているなら、愛らしくない顔にしないと。チイちゃんという名前が残っているなら、チイさくない姿にしないと。この町での出来事が残っているなら、この町での出来事を過去にしないと……」
65: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:22:16.40 ID:uP2qnu460
「消さないと」
男の声が響きます。
「消さないといけないんだよ」
66: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:24:06.14 ID:uP2qnu460
「マズね、包丁を振り回す……コレはいけない。包丁ってのは、引かなきゃあ切れないモンなんだ。だからスウッと筆を引き下ろすヨウに動かさないといけない」
「……ナッ……ナンの話を……」
「マズね、鼻を落とすんだ。お顔の真ん中にあるモンだからネエ。ソレが無くなっちまえば、ホオラ。愛らしくない顔に見えるウ……」
67: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:26:50.97 ID:uP2qnu460
「目蓋を切り取るのもいいかもしれないネ。けどそいつは可愛いお目目がさらにクリクリになっちまいそうだから、やめておいたホウが良いだろう。代わりにお目目に包丁を突き立てるんだ。そしたら愛らしくないだろう? けれども、それだとやかましく騒ぎ立てるかもしれないからネ……舌をサッサと切っちまったホウが良いかもしれない……」
妾は頭が痛くなりました。
脳を守るタメだというのに、この男は妾の脳を壊そうとするのです。
68: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:30:27.71 ID:uP2qnu460
「サア、これでわかっただろう? 脳味噌の守り方が」
「エ……エエ、エエ。そうですねエ……」
妾はかろうじて震える舌でそう告げました。
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