61: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:16:01.86 ID:uP2qnu460
「サテ、俺の言いたい事がわかるかい?」
「エッ? ……イ、イエ……全く……」
「フウム、少し難しいかい」
62: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:17:34.50 ID:uP2qnu460
「だからネ、忘れるからには、キッカリと忘れちまわないといけないよ」
「ハア……」
「でっかいのは言ったね。覚えているのは、ほんの少しだと」
63: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:19:22.81 ID:uP2qnu460
「スッカリキッカリ消しちまわないといけないんだ。小さな脳味噌を守るために、でっかいのは戦わないといけないんだよオ……」
「そうです……そうですねエ……」
「消さないと」
64: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:20:57.80 ID:uP2qnu460
「であらば、綺麗に消さないとねエ……」
「ハア……」
「愛らしい顔が残っているなら、愛らしくない顔にしないと。チイちゃんという名前が残っているなら、チイさくない姿にしないと。この町での出来事が残っているなら、この町での出来事を過去にしないと……」
65: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:22:16.40 ID:uP2qnu460
「消さないと」
男の声が響きます。
「消さないといけないんだよ」
66: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:24:06.14 ID:uP2qnu460
「マズね、包丁を振り回す……コレはいけない。包丁ってのは、引かなきゃあ切れないモンなんだ。だからスウッと筆を引き下ろすヨウに動かさないといけない」
「……ナッ……ナンの話を……」
「マズね、鼻を落とすんだ。お顔の真ん中にあるモンだからネエ。ソレが無くなっちまえば、ホオラ。愛らしくない顔に見えるウ……」
67: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:26:50.97 ID:uP2qnu460
「目蓋を切り取るのもいいかもしれないネ。けどそいつは可愛いお目目がさらにクリクリになっちまいそうだから、やめておいたホウが良いだろう。代わりにお目目に包丁を突き立てるんだ。そしたら愛らしくないだろう? けれども、それだとやかましく騒ぎ立てるかもしれないからネ……舌をサッサと切っちまったホウが良いかもしれない……」
妾は頭が痛くなりました。
脳を守るタメだというのに、この男は妾の脳を壊そうとするのです。
68: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:30:27.71 ID:uP2qnu460
「サア、これでわかっただろう? 脳味噌の守り方が」
「エ……エエ、エエ。そうですねエ……」
妾はかろうじて震える舌でそう告げました。
69: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:31:56.82 ID:uP2qnu460
「ならば、俺についてくると良い。……そうしたらネ、キット今に、君は彼女に会えるのだから……」
「エッ……エッ。それは、ドウイウ……」
「だからネ……俺の行く先には君の想う人がいて……そして君は、自分のちっぽけな脳味噌を守る事が出来るんだよ……アハハ……アハアハアハ……」
70: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:32:58.45 ID:uP2qnu460
包丁を握る手は白く、血の気を失っております。
妾はキット、鬼のヨウな形相をしていたのでしょう。
「サア……ついておいで。俺の後ろをシッカリ、ヒョッコリ……ついてくると良い」
71: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:34:40.27 ID:uP2qnu460
その時です。
ピシャリという軽い音と共に、痘痕は潰されてしまいました。
恐ろしい叫び声が響き渡ります。
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