過去ログ - ある時代のある場所の物語
1- 20
1: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:09:59.82 ID:0v+4uQkno
ポルノグラフィティの『カルマの坂』を今更小説風にしたものです。
何番煎じだって感じです。
小説風なので地の文が多いです。
というか8〜9割地の文です。
短いです。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:11:07.21 ID:0v+4uQkno
ある時代、ある場所
乱れた世の片隅に、ひとりの少年がいた。

少年は生きるため、盗みを覚えていった。
もちろん、少年としても好き好んでこのような事をしているのではない。
以下略



3: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:11:46.68 ID:0v+4uQkno
「このリンゴ貰ってくよ!」

「おい、ガキ!待ちやがれ!!」

「へへっ、捕まるもんか」
以下略



4: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:12:34.46 ID:0v+4uQkno
昼間は盗みをはたらき、夜は路地裏で一人うずくまって眠る。
そんな暮らしをしていた少年は、いつしかこう考えるようになっていた。

―――天国はもちろん、地獄にだって喜んで行ってやる。
ここよりマシな暮らしが出来るならね。
以下略



5: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:13:37.65 ID:0v+4uQkno
――――――――――――――――――――
「こらアンタ、そのパンを返しなさい!」

甲高い声を背に受けながら、少年は走っていた。

以下略



6: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:14:24.86 ID:0v+4uQkno
ふと、その行列の中のある少女に目を奪われた。

「うわぁ…」

思わず声を漏らしてしまう程に、少女は美しかった。
以下略



7: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:15:05.53 ID:0v+4uQkno
その時、ほんの一瞬ではあるが、少女と目があった。

(…っ!?
俯いていてあまり良くは見えなかったけど、泣いていた?)

以下略



8: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:16:17.82 ID:0v+4uQkno
(そんな、信じられない…
信じたくない…
俺と歳も変わらないような子が?
やっぱり人は平等なんかじゃないじゃないか)

以下略



9: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:17:16.55 ID:0v+4uQkno
「うわああああ!!!」

金持ちの家を見届けたあと、少年は叫びながら走った。
少女の身体にあの穢らわしい手が触れているのか――そう考えると、叫ばずにはいられなかった。

以下略



10: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:18:05.12 ID:0v+4uQkno
少年は神に尋ねた。
いや、神など居ないのかもしれないが、そんな事は今はどうでも良かった。

「なぜ、僕らだけは愛してくれないのですか」


11: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:20:24.56 ID:0v+4uQkno
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夕暮れになるのを待って、武器商人から一本の剣を盗んだ。
それは少年にとって、初めての『生きるため』ではない盗みだった。
少女を生かすためだったのだろうか。

以下略



12: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:22:37.74 ID:0v+4uQkno
「お前、なんの用だ?」

「…」

答えることなく唐突に剣を振るう。
以下略



13: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:23:37.28 ID:0v+4uQkno
バンッ

最奥の部屋の扉を開ける。
慌てた様子の醜く太った半裸の男と、表情を失った、一糸纏わぬ少女。
抜け殻となったような少女をみて、少年は遅すぎた事を悟った。
以下略



14: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:24:27.18 ID:0v+4uQkno
「なんだお前は!?」

男の問いには答えない。
いや、その声は少年に届いてすらいなかった。
男は少年が剣を持っていることに気づいた。
以下略



15: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:25:20.33 ID:0v+4uQkno
少年を見た少女は、壊されてしまった魂で微笑んだ。

そして一言

「私を…殺して…」
以下略



16: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:26:07.74 ID:0v+4uQkno
剣を引きずりながら、ゆっくりと少女に歩み寄る。
少女の前に立った少年が剣を持ち上げる。
少女は、もう一度微笑んだ。

「うわああああ!!!」
以下略



17: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:27:15.01 ID:0v+4uQkno
――――――――――――――――――――――――――――――――――
金持ちの家をあとにした少年は、泣くことをも忘れていたことに気づく。
地獄のようなこの暮らし
この世の不平等さ
そして、救うことの出来なかった少女
以下略



18: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:27:59.88 ID:0v+4uQkno
続いて思い出したのは空腹感。
空腹は、自分が生きていることの証でもある。
もはや空腹も感じなくなっていた少年にとって、その感覚はひどく懐かしく感じられた。


19: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:29:00.96 ID:0v+4uQkno
その刹那、少年は痛みを覚え、倒れ込む。
屋敷の追手にやられたのか、心の痛みなのか、それとも他の原因か、はっきりとはしない。
だがそれでも構わなかった。

ただ、ありのままの痛みを確かに感じていた。
以下略



19Res/7.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice