3:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 00:53:58.64 ID:GdVxBNigO
「唐突過ぎて理解が追い付いていないかもしれないが、
我がプロダクションのアイドル部門の未来がかかっている。どうかな、やってくれるかな」
「それは、私の意見は考慮されない、プロダクションからの辞令という事でしょうか…」
4:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 00:55:47.21 ID:GdVxBNigO
確かにモデルのお仕事は減ってきている。目に見えてではないにしても、
新しい子も所属しだして、私のお仕事は少しずつ変化していることも気づいている。
これは多分移動と言う名の廃品処分に近い何かだろう。
こんなに早くそんな状況が来るとは、我ながら考えもしなかった。
5:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 00:56:57.12 ID:GdVxBNigO
そうして今夜も私はお酒に逃げる。
寒い夜に、熱燗をカウンターの隅で一人寂しく啜る。
暖かさが食道を抜け、胃の中に落ちる。少しずつお酒は私を満たし、それと同時に私を渇かす。
6:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 00:58:04.53 ID:GdVxBNigO
「高垣楓さん、ですね」
「はい、高垣楓です。モデル部門から転属されました」
7:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 00:59:19.65 ID:GdVxBNigO
この人は、私がモデルをやっていたことを知っているのだろうか。笑顔なんて、いくらでも出来る。
ニコッと、いつものファインダーに向ける笑顔を一つ。
これでNGが出ることは今まで一度も無かった。
8:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 01:00:33.79 ID:GdVxBNigO
レッスンと言えば聞こえはいいけれど、これは特訓に近い何かだと思う。
「アイドルの基礎は何より体力!
しっかり走って、しっかり筋力をつけて、自分自身を支える芯を作ること!!」
9:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 01:02:18.58 ID:GdVxBNigO
疲労の色が伺えたのか、レッスンの続いた数か月後、やっとお休みをもらえた。
勿論肝いりのアイドル部門だから、甘ったれた言動・行動は許されない空気があったのは事実。
私もすがる道がそれしかないから、必死についていった。
10:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 01:03:20.10 ID:GdVxBNigO
だるい体を引きずって、346プロまで足を運ぶ。
アイドル部門の扉を開ければあの大男が窮屈そうにパソコンと向き合っている。
電話を受けているようで、受話器も極めて小さく見える。
11:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 01:04:38.01 ID:GdVxBNigO
「どうぞ」コトッ
「ありがとうございます」
「…」
12:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/12(月) 01:05:36.54 ID:GdVxBNigO
「はい。346プロには、貴女以外にアイドルはいませんから」
「そ、そうですよね…」
「緊張、しますか?」
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