75:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:52:36.16 ID:sdjP5j9j0
第4話「幸福な結末」
大きく息を吸い込んで、
ゆっくりと吐き出していく。
76:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:53:10.78 ID:sdjP5j9j0
「寒くないか」
「ううん平気」
77:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:54:56.21 ID:sdjP5j9j0
金曜の夜の駅前を行き交う人はいつもより賑やかで、
見ているとほんのりしあわせな気持になる。
お酒に酔って大きな声で笑いながら歩くおじさんたち。
腕を組んであたたかそうにくっついていてあるく恋人たち。
78:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:55:41.74 ID:sdjP5j9j0
「聞いてもらいたいことがあるんだ」
「うん」
79:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:56:52.77 ID:sdjP5j9j0
「…子供じゃないわ。いい大人だもの。青春ごっこはこれで終わり」
わたしがそう言うと、澪ちゃんはすこし怒ったように、顔を背けた。
80:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:58:08.43 ID:sdjP5j9j0
「結婚するの」
81:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:59:00.83 ID:sdjP5j9j0
「……」
82:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:59:51.30 ID:sdjP5j9j0
高架橋の上を走る電車が、吸い込まれるように駅に走ってきては、
吐き出されるように去っていく。
その繰り返し。
83:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:00:25.94 ID:sdjP5j9j0
よくわからないけれど、生きていれば否応もなく選ばなきゃいけない瞬間というものがあるんだと思う。
T字路にぶつかったとき、右に行くのか左に行くのか。
後戻りもできない。前へも進めない。
84:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:01:04.45 ID:sdjP5j9j0
「両方ともウソなのかもしれないよ」
「ちがう」
85:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:02:01.71 ID:sdjP5j9j0
澪ちゃんの言う通り、もしかしたら本当のことはひとつじゃないのかもしれない。
けれど、選ばれなかった方は選ばれなかったことをもって本当のことじゃなくなってしまう。
もっと怖いのは、何も選ぶことができず、曖昧な態度を取り続けているうちに、
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