過去ログ - ロシアンルーレット
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11: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:21:40.01 ID:xhFcsLfTo
Bは缶に飛び付いた。銃口から逃れるように。

慌てて振ったせいか、彼の手には二個の玉が転がり込む。

一つ目は白、そして二つ目も――――、白。
以下略



12: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:22:36.04 ID:xhFcsLfTo
このゲームのキモは、ハッカとレモンの見分けにあると言って良い。

どちらも一見すると白い玉に見える。しかし『透度が違う』というのは既知の事実である。

ハッカは白く濁っているため光を通さないが、レモンは光を通して透けて見える。
以下略



13: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:24:35.70 ID:xhFcsLfTo
Bは手中の二つに目を落とした。

可能性は『レモンとレモン』、『レモンとハッカ』、そして『ハッカとハッカ』。

どちらも『同じ白』であれば『レモンとレモン』か『ハッカとハッカ』であり、助かる可能性はまだ残る。
以下略



14: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:25:33.77 ID:xhFcsLfTo
Bは人口五千人にも満たない、小さな漁村で生を受けた。

父は漁師であり、母とは見合い結婚だったらしい。

父は二十八、母は二十六。
以下略



15: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:26:25.20 ID:xhFcsLfTo
後から聞いた話だが、傍から見れば二人の仲はそれほど悪くはないように見えたらしい。

それもそのはず、「何も起こっていない」のだから。

悪い事はもちろん、そして良い事も。あるのは喜怒哀楽のどれ一つ無い、無味無臭の空気ばかりである。
以下略



16: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:27:03.65 ID:xhFcsLfTo
高校は、父の言いつけで地元の普通科に通う事になった。

中学を卒業したばかりの身では一人でやっていける自信も無く、

表面上は素直にその言葉に従った。
以下略



17: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:27:43.05 ID:xhFcsLfTo
それからは日雇いのバイトで食い繋いだ。

父の貯金は上京前にある程度引き出したものの、頻繁にやっては居場所がばれる。

幸いにも半年ほど働いた工事現場の監督が「何ならうちで働くか?」と言ってくれ、
以下略



18: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:28:20.83 ID:xhFcsLfTo
正社員として働き出して一年。

仕事帰りに「今日は良い所に連れてってやる」と言われたのが人生の分水嶺であった。

監督に連れられて足を運んだのは、いかにも高級そうな風俗店であった。
以下略



19: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:29:14.90 ID:xhFcsLfTo
ボーイに連れられ、小奇麗な待合室に通された。

すぐさまビールが出されたが、Bは手を付ける気になれなかった。

いくら請求されるか知れたものではない。
以下略



20: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:30:02.77 ID:xhFcsLfTo
低頭するボーイの横を通り、店の奥へと導かれる。

そしてその女と出会う。

二階に上がる階段の前、赤いシルクのワンピースに身を包み、彼女はそこに立っていた。
以下略



21: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:30:45.05 ID:xhFcsLfTo
彼女はゆっくりと近付き、細い両腕をBの首へ回した。

すっと顔が近付いたと気付いた時には、呆けて開いた唇にねっとりとした熱いモノが滑り込んでいた。

こじ開けられた口の中で、それは舌全体を撫でまわすようにゆっくり、大きく動きだす。
以下略



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