12:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:01:06.89 ID:Pk6xABjY0
金はどんどん減っていきそろそろ働かなければやばいそう思った。
だが頭ではそう思っていても行動に移せない。
仕事を探すような気力が俺にはもうなかった。
13:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:01:54.99 ID:Pk6xABjY0
ある晩、冷蔵庫を開けたら酒がなかった。
まだ寒い時期だったがしかたなくコンビニに行くことにした。
月の綺麗な夜で、ひんやりと澄んだ空気が心地よかった。
ふと気になって財布を開けるといくらかの小銭とカードしか入っていない。
14:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:03:00.12 ID:Pk6xABjY0
惨めな帰り道で閃いたことは目の間にある家に入ろう、ということだった。
電気のついていないその家は明るい月夜の中で逆に浮いていた。
家人は留守だろう、これならいけるだろう、そう思った。
俺はその家に入らなければいけない、そうすればなんとかなる、義務感のようなものに駆られていた。
15:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:03:37.48 ID:Pk6xABjY0
敷地に忍び込んで扉に手をかけるとすんなりと開いた。
鍵はかかっていなかったようだ。
息を殺して忍び込み中を探索する。
月の光のおかげで視界には困らなかった。
16:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:05:32.63 ID:Pk6xABjY0
シンクがある。キッチンだろう。
棚を開けると食器があったが割れていてどれも金にはなりそうもなかった。
下の棚を開けると包丁があったからそれを頂戴した。
今思えば実は心細かったのかもしれない。
17:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:06:46.76 ID:Pk6xABjY0
それを手にしたまま再び探索する。
次に和室に入った。
和室だと思ったのはフローリングだった床が畳になっていたからだ。
18:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:11:14.35 ID:Pk6xABjY0
目の端に何かが映る。
ひやりとはしたが俺は人だとは思わなかった。
ああ、また社長か、振り向けば消えてしまうのだろう、そう思った。
しかし目を向けた先には確かに人の形をしたものがいた。
19:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:11:57.87 ID:Pk6xABjY0
そいつの顔はあまりに青すぎた。青白いなんてものではない。
文字通り真っ青だった。
着物みたいなものを着てこっちを見ている。
俺はとうとう気が触れてしまったようだ。
20:名無しNIPPER[sage]
2015/02/12(木) 01:12:45.68 ID:Pk6xABjY0
その瞬間俺はなぜか怒りに燃えた。
散々つきまとってきた社長が−社長ではなかったかもしれないが
−目の前に出てきて俺に[ピーーー]という。
よりによって首吊りで、社長と同じ姿になれという。
21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/12(木) 01:14:47.70 ID:Pk6xABjY0
俺は走ってその場から逃げた。
そいつの叫び声だけがいつまでも耳から離れなかった。
その晩は震えて眠ることすらできなかった。
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