過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜 
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 09:14:57.63 ID:638Opjkd0

「――誰もいない…… な」


 二階にある自室から一階へ下りてきて、誰もいないリビングへ入る。

 まるで外国…… アメリカかどこかの家にあるような、そんな広いリビング。
 キッチンとリビングが一体になっている、いわゆるリビング・ダイニング・キッチンという造りだ。

 窓からは春の暖かい陽光が木漏れ日のように差し込んでいる。
 眩しさに目が慣れてくると、次第に外の風景がありありと飛び込んで来た。


(広い庭だな……)


 まるで外国の――


――俺はこの豪邸と言っても何ら差し支えない洋館風の屋敷に住んでいる。


 ちなみにここは俺の家ではない。
 
 何故他人の家に俺が住んでいるのか…… その訳を辿ると少し長くなる。


「――ピザトーストに、これはシーザーサラダか? あとはスクランブルエッグにウインナー……」


 キッチンにある大きな冷蔵庫を開けると、最初に目に飛び込んできたのはラップが掛けられてメモが貼ってある、料理が盛られた幾つかの皿。
 温めて食べろ…… ということだった。彼女が作ったらしい今日の朝食。
 全てを取り出し、温めるものはレンジへ入れて、トーストはトースターへ放り込んで焼くことにする。

 恐らく彼女がそうしておいてくれたのか、保温状態になっている電気ポットのお湯を使ってコーヒーを淹れた。
 独特な香りが鼻腔を通って脳を刺激する。

 完全に目が覚めた。
 レンジから料理が盛られた皿を取り出す。トーストはまだ焼けていないらしい。
 トーストが焼ける間、コーヒーをすすりながらサラダをつつく。
 シーザードレッシングがかかったレタス、トマト、ゆで卵、鳥のササミ肉、クルトンその他。とても色鮮やかで食べてしまうのがもったいないようにも思える。

 サラダ一品にも手が込んであって感心する。彼女は料理が好きらしかった。

 やがてトースターが高らかに鳴く。
 丸いササミ肉、スライスされたピーマン、とろけたチーズ、表面を覆いつくすケチャップ。

 俺はこのピザトーストが好きだった。
 さっそくそれを皿の上に乗せて、食卓へ運ぶ。
 全ての朝食が出揃って一つ「いただきます」の合掌をしてからさっそく口をつけた。


――日曜日か。


 目まぐるしく過ぎていく時間。
 その合間、束の間の休息。


――俺…… 遠くまで来たんだな……


 コーヒーを飲み込むと、安堵のため息が漏れる。


「――来ちゃったんだな……」


 そんなことが口をついて出て、いつの間にか自分を省みていた。


(俺…… こんなことして良かったのかな)


――これは自分で決めたことだった。


 本当にこれで良かったのか。
 良かったんだ。
 合理化する為に俺は今一度自分の決断を振り返った――



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