3:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:10:37.58 ID:Qq9PsvFaO
見慣れたタンス、勉強机、飾った写真に、壁にかけた時計とカチカチ動く、針の音。
カチカチって音を聴くたびに
カチカチって何かが凛の中でうまく噛み合わなくて
布団の中で居心地が悪くなる。
4:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:12:07.51 ID:Qq9PsvFaO
靴下を履いていないままはだしで履いた靴はなんだかいつもより一回り大きく感じてちょっとブカブカに思える。
普段は靴下なんて習慣で履いてるもので気にしたことなんてなかったけど、
なるほど、
歩くと靴の底がペタペタと足の指とかにひっつくようで歩きにくい。
5:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:13:38.83 ID:Qq9PsvFaO
パーカーだけだとまだちょっと寒かったかなぁーって思って
袖をグイってして手まで隠して両袖の部分を擦り合わせてたら、
クシュってくしゃみがひとつ出て、あ、風邪ひいちゃう?って不安に思ったら顔の横あたりの壁の上から、
にゃー
6:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:14:53.16 ID:Qq9PsvFaO
ぽつんと残って、なんでだかちょっとさみしくなって損した気持ちになっちゃって、仕方ないやってまた歩き出す。
はぁーって吐いた息の色もわからないこの道は街灯が少なくて、
夜は危ないからひとりで出歩いちゃダメだって小さい頃凛はよくお母さんに言われていた。
7:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:16:22.72 ID:Qq9PsvFaO
ひっそりとしたかよちんの部屋の窓の色は黒というより濃い群青色に見えて、
それでも、やっぱり起きてないかって当たり前のことを確認して、どこか、変に落ち込んでいる凛がいる。
起きてるわけないのに、ばかだよなぁ、って思って、
ちょっと期待して今にもかよちんが起きて部屋に電気がつかないかな、ってかよちんの家の前で立ち止まってみてみるけど、
8:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:17:45.72 ID:Qq9PsvFaO
凛は偶然目が覚めて、偶然夜の散歩に繰り出して、偶然この道を歩いているだけなのに、
そういう偶然が起こっている間中、さっきすれ違った自動車を運転している人はずっと車を運転していたのかなぁって考えると
凛は不思議な気持ちに心が満たされる。
9:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:19:48.45 ID:Qq9PsvFaO
自由に脈絡なく泳ぐもの。
規則正しくグルグルと同じ場所を廻っているもの。
まるでオーロラみたいに群れをなして周回しているもの。
10:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:22:21.04 ID:Qq9PsvFaO
かよちんは、不思議そうな顔をして同じように青色になってる凛の顔を青色を映している茶色の瞳で見返した後、
凛よりも優しい力の入れ方でギュと繋ぎ返してくれた。
それから凛はときおり、水族館の水槽の青色の中で泳ぎ回る魚のことを考えた。
11:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:24:16.37 ID:Qq9PsvFaO
そういうことを考えたら、凛はやっぱり不思議な気持ちになって、どうしていいのかわからなくなって、スゥと息を吸って、ハァとそのままを吐き出した。
見えない何かは凛を満たして、凛の中の何かがその中に少しだけ溶けて、
そしてその何かはまた空中に舞い散っていく。
12:名無しNIPPER[sage]
2015/03/16(月) 18:26:28.94 ID:Qq9PsvFaO
グルグルと何かを続けていって、グルグルとまた誰かに出会って楽しんだり一緒に笑ったり一緒に泣いたりして、
そうしている間にまたグルグルとさよならをする。
そういうことを何回も何十回もグルグルと続けていって、
そのうちに変わることは変わってしまうだろうし、変わらないことはずっと変わらないでい続けるだろう。
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