過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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881: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/15(火) 23:50:01.98 ID:Y8k0m8hzo
「あっ!」

そんな中、ネリーが何か重大なことを思い出したように声をあげる。

「どうした?」

「正しくは、五〇万一六〇〇円だった!」

「はあ?」

出し抜けにそんなことを言われて、さしもの智葉も困惑気味に返す。

「手数料! 手数料の一六〇〇円もとられたんだよちくしょー」

またしても「むきーっ」と地団太を踏むネリー。

「ちくしょうって……とりあえず、盗られたのは手数料込で五〇万一六〇〇円……そういうことか?」

智葉が真面目な顔をしてそう確認すると、全く関係ない遠くの席で噴き出すような笑いが漏れた。

「おい、今の……」

不謹慎を咎めようとした智葉をよそに、また別のところで忍び笑いが漏れ聞こえてくる。

「せ、一六〇〇円て……」

「手数料は不意打ち……」

所々から笑いを堪えようとする空気が生まれ、忍び笑いが漏れ、かといってそれは嘲るようなものではなかったからか、智葉はかぶりを振って嘆息する。

「五〇万一六〇〇円がー……」

そして、畳みかけるようにそんなことを言ってどんよりするものだから、お笑いムードは拍車をかけ、部室の重苦しい空気はいくぶんとり払われていた。

それをみて、智葉も注意するのはやめたようだ。ネリーに向き直ると。

「それでネリー、今から警察にいってくるのか?」

智葉の質問にネリーが無言で肯く。

「警察に届けを出したあとどうする? 練習はしていくのか」

「うーん……やめとくよ。いいかな?」

「まあ……いいだろう。私事もいいところだが、故郷への手紙とあっちゃな。無碍にできん」

「ネリーが気にしてるのは五〇万だけどね」

「ふっ、そういうのは口に出すんじゃない。ま、お前らしいけどな」

会話を終えたネリーが、こちらに――咲の方に歩いてくる。

「はー、ついてない」

咲やハオや他の日本人部員二人がつく卓に、そのうち咲のところに来て、ネリーが落ち込んだ様子を見せる。

「災難だったね……」

「ほんとだよ」

咲が同情すると、ネリーが肩を落として言う。

「これから、警察に……?」

「そうなるかな。うーん」

「どうしたの?」

腕を組んだネリーが唸る。その悩ましそうな様子に咲が尋ねる。

「いや……ちゃんと戻ってくるかなって」

「……それは」

どうなんだろう。咲は、自信を持って答えを言うことができなかった。


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