3: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:36:49.81 ID:w+Y5NOKn0
憂の唯先輩への愛情は、家族愛に属するものでも、留まるものでもなかった。
そして何より皮肉なのは、その想いに誰より嫌悪していたのはその憂自身だったのだ。
憂はその募る想いを吐き出すことも出来ず、自らへの嫌悪を開き直ることも出来ずに。
やってきた唯先輩の卒業と巣立ちを、あっけなく迎えてしまった。
4: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:40:30.57 ID:w+Y5NOKn0
私は一緒に居られるだけでいいから。
いつか私がそう言った時、憂は寂しそうな、嬉しそうな、それでいて悲しそうな顔で曖昧に微笑んだ。
それ以来、そんな想いも言葉にはしなくなったけれど。
悲しませるくらいなら、私はただ、愛する他にないんだ。
5: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:43:03.07 ID:w+Y5NOKn0
それから部屋に戻って、再びベッドに潜り込んだ私たちは、抱きしめ合って、静寂に耳をすませていた。
午前2時20分。夜の帳が下りて、小さな窓から溢れる青い月明かりだけが、私たちへ静かに降り注いでいる。
今、此処には、私と憂のふたりだけ。聞こえるのは静けさの奥に響き合う、命がふたつだけ。
眠ってしまうには惜しいくらい、静かで緩やかで、それでいて、
ほんの少し、悲しみや寂しさがさざ波を立てているような時間。
6: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:46:40.14 ID:w+Y5NOKn0
「だけど、私……もう、梓ちゃんと、ふたりでいるの……手放せない……手放したくないよぉ……」
「梓ちゃんはいつも優しくて……可愛くて……温かくて……
もう隠せないよ……! 大好きってもっとたくさん伝えたいよ……!」
7: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:49:16.55 ID:w+Y5NOKn0
私は、憂を愛してる。だけどそれは、ふたりぼっちでいる
逃げ場所を作ることなんかじゃ、決して無いんだ。無かったんだ。
もっともっと、憂を、憂が抱えるその想いも、丸ごと愛していたい。
8: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:51:25.23 ID:w+Y5NOKn0
「憂……! ずっと一緒にいてよぉっ……! 私、憂のこと、本当に本当に愛してるから……!
だから! 死ぬまで、私と一緒に生きていってほしいの……!」
やっと、言えた。泣きながら、だけど。
9: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:54:24.97 ID:w+Y5NOKn0
「ねぇ、憂。唯先輩には、二人で話そうね。私そばにいるから、ふたりで、ちゃんと」
「うん……そうする。ありがとう、梓ちゃん。私うまく……伝えられるかな……」
憂の表情が曇る。無理もない、だけど平気だよ。私がいる。
10: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:58:17.73 ID:w+Y5NOKn0
以上でございます
ういあずはとっても好きなカップリングでございまして、妄想ひろがりんぐ!ってなかんじで書きました
今現在、このSS設定を下地にういあず夏のリゾート編を書いておりますので、
書き上がった暁には、そちらもよろしくお願いします
11:名無しNIPPER[sage]
2015/04/01(水) 16:10:55.74 ID:SoWry/m9O
すごく良かった
乙
12:名無しNIPPER[sage]
2015/04/01(水) 17:01:10.24 ID:21vo7/vro
綯い交ぜとか読めん
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