過去ログ - まったく、小学生は最高だぜ!!  百合ver
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18: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/04/05(日) 15:49:48.04 ID:UROCsVvH0
私は彼を呼んだ。
隣近所の人が、怒鳴ってきてもおかしくないくらいには叫んだ。
彼だけじゃない。街の音が全て消えていた。
サンダルを履いて、階下まで駆け足で降りていく。
静まり返るアパート。電気はついているのに、
人の気配だけは消えている。

「どこへ行くの」

「なにこれ……」

「何をそんなに驚くの。いつも、感じていたものでしょう」

彼女は背負っていたランドセルを適当に放り投げる。
鈍い音と、中身が混ぜかる音がした。

「ほら、邪魔者はいなくなったわ」

少し舌足らずな言葉。
おぼつかない足取りは、小学生にしか見えない。
こちらに近づき、私の腰のあたりにぎゅっと抱きついてくる。
そして、小さな指で桜の木を指した。

「あの花が散ってしまう前に」

「……」

悪い夢を見ている。

「夢を見ていると思ってる。それも悪い夢」

「そうだよ……」

「それは間違いじゃないけれど、夢のままで終わっていいの?」

その問いには答えず、私は彼女から離れ、部屋へと戻る。
カンカンカン――と階段の足音がいつもよりも甲高い。
後ろから追いかけてくる。

彼女が入って来る前に扉を閉めた。

「意味のないことは、止めた方がいいわよ」

頭がぐちゃぐちゃだ。


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