過去ログ - 艦娘という存在
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2:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:29:22.21 ID:eM9XkrPr0
 「――、A鎮守府の提督を命ずる」

 はい? と言い返しそうになるところを、僕は飲み込む。
 相手は軍部の最高階級、元帥だ。

以下略



3:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:30:27.07 ID:eM9XkrPr0
 私はA鎮守府の提督となった。式典の開始時刻まで、あと数分。
 腕を組んで手の震えを抑えながら、執務室で待機している。

 コンコン。ドアがノックされる。
「失礼します」と言って入ってきたのは、『駆逐艦』の電(いなづま)。
以下略



4:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:33:05.76 ID:eM9XkrPr0
 私は電に導かれて講堂へ向かう。講堂にはすでに135人の『艦娘』が直立していた。
 私は厳粛な空気の中、壇上に上がる。歯を噛みしめ、目を細めることで堅い表情を作っているが、実際は相当緊張している。

 「私が、このA鎮守府の提督として着任した谷川だ。諸君に求めることは、私への信頼、そして諸君同士の信頼。信頼なくして物事を成すことはできない、特にそれが、生死の狭間に立つ、戦争なら――」

以下略



5:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:33:55.33 ID:eM9XkrPr0
 私の着任したこのA鎮守府は、普通の軍隊ではない、
 提督である私以外、全員『女子』なのだ。

 『女子』と言えば少し誤解が生じる。
 彼女たち『艦娘』は、クローン技術によって生み出された、人工の、クローンヒト型生物である――


6:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:34:41.17 ID:eM9XkrPr0
***
***

 僕は幼馴染の田中茂(タナカシゲル)と共に、電車に乗っていた。
 行き先は防衛省。
以下略



7:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:35:15.63 ID:eM9XkrPr0
 「本日はお忙しい中、ありがとうございました。担当の山野と申します」

 防衛省とあって、迷彩服を着たのムキムキな人に会うと思っていたが、実際、山野さんはスーツ姿の体格の良い男性だった。

 山野さんは挨拶を終えると、「これからのことは他言無用で」との前置きの上、僕らの前に書類を置いた。
以下略



8:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:36:10.60 ID:eM9XkrPr0
 数か月前、日本海に謎の生き物『深海棲艦』が現れた。
 人間に近い知能を持つと予想され、火器を用いて、人間を攻撃してくる。

 一個体が単独で攻撃を仕掛けてくるため非常に小回りがきき、既存の大型の艦での攻撃はほぼ不可能だった。

以下略



9:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:36:48.38 ID:eM9XkrPr0
 そうして計画されたのが、『艦隊プロジェクト』。
 クローンヒト型生物を大量に製造し、『艦隊』を組ませ、海上で深海棲艦と戦わせようとするプロジェクトだった。

 現在、陸上・海上・航空自衛隊が一丸となって深海棲艦の内地への侵入を防いでいるという。その間、僕らは艦隊プロジェクトを進める。
 僕はクローン技術の確立を、シゲルは『人工子宮』の技術の確立を担当した。
以下略



10:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:37:59.16 ID:eM9XkrPr0
 私が着任した翌日、早くもA鎮守府で初めての出撃が行われる。
 艦娘たちは皆、『艦娘養成施設』で、ある程度の実技訓練は受けているらしいが、不安だ。
 昨日、出撃する駆逐艦と航空母艦の実力を見たのだが、そもそも初めての深海棲艦との会敵である。あてにはできない。

 「――以上。無事を祈る」
以下略



11:名無しNIPPER[ ]
2015/04/26(日) 20:39:12.95 ID:eM9XkrPr0
 「敵艦は全艦轟沈。私と吹雪が小破をしました。以上が報告です」

 「ご苦労。次に備えてくれ」

 退出の際に全員が「失礼しました」と言った後に、再び執務室が静かになる。
以下略



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