30:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:23:41.86 ID:+HxJNIVIo
和『それで? 唯が宇宙人だと知っても恋人として付き合うって決めてるのよね? だから私に報告したんでしょ?』
澪「う、うん、その通りです……。和はどうだった? 唯が宇宙人だって知って、何か変わった?」
和『別に何も』
うん、その返答はなんとなく予想してた。だって和だし。
和『澪も何も変わってないんでしょう? だったらいいじゃない』
澪「そうなんだけど……唯に関して知っておけることがあるなら知っておきたい、って思う。もっと唯のことを理解したい」
和『唯を理解、ねぇ………………無理じゃない?』
澪「そ、そんな!」
和『澪には無理、という意味ではなくてね。私から見ても唯は本能のままに好きなことして破天荒に生きてるから時に行動が読めなくて、私からできるアドバイスは何もないのよ』
澪「破天荒って」
和『宇宙人だって言う割には、私達より人間らしい欲望に忠実よねぇ』
そう言って、和が笑う。
和は真面目な人だけど、真面目というだけの枠には収まらない豊かな人間性を持っている。
それにはきっと、唯も影響しているんだろう。
和『……澪。あんな唯だってね、自分の存在に悩んでた時期はあったのよ』
澪「「あんな」って。……でも、うん、それは聞いたことある。中学くらいだったっけ」
和『そうね。そして悩んだ結果、唯は何も変わらなかった。いえ、何も変えないように頑張る、と決めた……ように私には見えたわ』
唯自身は考えることを止めたような言い方をしていたけど、それは周囲から見れば和の言うように映るのかもしれない。
まあ、その結果今の素敵な唯がいるのだから、表現の違いなんて些細なことだ。
和『何も知らなかった頃の唯も、悩んでた頃の唯も、頑張ってる頃の唯も、私は全部見てきたけど……どれも唯なのよ、やっぱり』
澪「………」
和『高校に入ってからは澪のほうが距離が近いかもしれないから、わかるんじゃないかしら』
澪「……うん」
唯の横顔を、高校でずっと見てきた。
和の説明の通りだとすれば、私の見ていた高校の唯はずっと頑張っていたのかもしれない。
何も変わらないように、何も変えないように。
勉強して、部活に入って、遊んで、そして私の告白にもちゃんと向き合ってくれて。
そんな風に。
和『唯を理解したいという澪の気持ちを否定はしないわ。人を好きになるということがそういうことであるなら、それは素敵なことだと思う』
澪「……うん」
和『ただ、唯の全部を理解しているとは到底言えない私から出来るアドバイスはない、というだけ。ごめんね、力になれなくて』
澪「ううん、そんなことはないよ。相談に乗ってくれてありがとう。それに、私より長く唯の隣にいた和でもわからないことがあるって聞いて、焦る必要はないんだってわかったから」
和『ふふっ、そうね。澪なら唯が何かヘンなことやらかしても「だって唯だから」で受け止めてくれそうだし、安心ね』
澪「安心って、なんか、それは……」
和『……唯のこと、よろしくね、澪』
……晶に任せたはずの唯の世話が、今度は和から任せられてしまった。
澪「……学科とかは違うから、一日中ずっとってわけにはいかないけど……一緒にいられる時は、ま、任せて」
和『うん』
……責任重大だけど、唯と一緒にいたいのも本心だから、「任せて」くらいは言える。
さて、次は菖と幸にも言わないと。晶には「黙っててくれてありがとう」って言わないとな……
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