13: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 18:08:40.58 ID:WT24WuKIo
彼はそう言うけれど、仕方のないことではあったろう。
どうしようもないことは世にいくつもある。
「彼女に会いに行くのは怖かった。
14: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 18:09:14.57 ID:WT24WuKIo
彼は小さく荒れたらしい。
いや沈んだと言うべきか。
部屋にこもって酒だけ飲んで時々唸り声を上げた。
周囲は少し怖がった。
15: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 18:10:22.63 ID:WT24WuKIo
それから。
16: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 19:55:31.56 ID:WT24WuKIo
彼は彼女をあいつと呼ぶ。
「あいつはそれまで見てきた女の中でダントツに色気のねえ奴だった」
17: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 19:56:55.90 ID:WT24WuKIo
それでも縁はあったようだ。
「未練がましく彼女のことを思い出して飲んでたあるとき少し飲みすぎちまったらしい。
泥の中を這うような夢を見て、目が覚めるとどこか小さな部屋だった。
18: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 19:57:43.91 ID:WT24WuKIo
正直不気味だったという。
「なんだか幽霊みたいでな」
19: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 19:58:24.59 ID:WT24WuKIo
「そこは酒場の奥だったらしい。
そういうことに使われていたとかいないとか。
後から知ってげんなりしたね。そういうことをしろってか、と。
なんもしないで出てきたが、妙な感じは残っちまった。
20: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 19:59:02.45 ID:WT24WuKIo
実際その分彼は損したらしい。
いや彼自身はそう言うが、少なくとも僕はそう思わない。
「時折あいつはミスをする。店主に裏でどやされる。
21: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 19:59:56.00 ID:WT24WuKIo
そしてやはり飲みすぎた。
「気づいたらまたあの部屋だ。
俺は大きくため息ついた。
22: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 20:07:26.14 ID:WT24WuKIo
ちょうどその頃市政の状況が変わったらしい。
あまりの犯罪の横行に厳しい対応が求められ、議員の総入れ替えがあったとか。
「詳しいことは俺には分からん。だが空気の変化くらいなら全く分からんほどじゃなかった。
23: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 20:08:01.87 ID:WT24WuKIo
彼がのぞいてみると、彼女は一人でそこにいた。
「誰もいなくなった暗がりであいつは椅子に座ってた。
妙な音が聞こえると思ったら鼻歌だったらしい。
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