過去ログ - 千早「みんなと笑って過ごしたくて……か」
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1: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 03:22:54.35 ID:baGQKCcJ0
アイマス はるちは 百合 たぶんめちゃ短い


事務所の入り口までの階段は相変わらず暗い。
顔を上げて帽子を取ると、扉の隙間から光が漏れていて、
たぶん小鳥さんかプロデューサーが遅くまで残っているのだろう。
やや重たい瞼を抑えて、一度深呼吸する。
疲れた顔で入って、心配をかけたくはない。

「失礼します」

「あ、お帰りなさい千早ちゃん。春香ちゃん、先に戻ってるわよ」

案の定、小鳥さんが首だけをこちらに伸ばして、ソファに視線を送る。

「春香?」

呼んだ主の返事がなく、小鳥さんも首を傾げた。

「あ、寝てるみたいです」

腰かけていた春香の首がかくんと動く。

「……ふえ、あ、千早ちゃ……ん」

「起こしちゃったわね」

「う、ううん……ごめん、私寝ちゃってたんだね」

「朝早かったんでしょ。まだ、ここで休んでいていいのよ」

「大丈夫……千早ちゃん、お夕飯まだでしょ?」

瞼を擦り、春香がゆっくりと立ち上がる。
微笑みを浮かべて、私に手を差し伸べる。
その手を掴むと、春香はやや遠慮がちに言った。

「話、あるんだよね? どこでしようか……」

「……そうね。屋上でも構わないのだけれど」

春香は少しだけ驚いた表情になった。
それを隠すように、すぐに頷く。

「いいよ。行こう」

彼女は人の心に敏感な人だから。
きっと、気づいていて。
けれど、あえて合わせてくれている。
彼女のペースを保ちながら、周りと一緒に進める人だから。
それに引き換え、私は焦っている。
目の前に実った苺が、誰かに食べられてしまわないか。

平静を装いながら、いつも心配ばかりしている。
誰かのことで一喜一憂している。

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2: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 03:45:55.62 ID:baGQKCcJ0
こんなに感情を出せるようになったのも、
皮肉な事に彼女のおかげだった。
でも逆に、彼女は日に日に心を抑えるようになってしまったように思う。
同じ時間を過ごしてきたのに。
彼女にとって、それは我慢だったのだろうか。
以下略



3: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 10:19:56.57 ID:baGQKCcJ0
「なかなか、連絡返さなくてごめんなさい……」

頭を下げた。
春香が慌てて振り返ったのが分かった。

以下略



4: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 10:48:36.37 ID:baGQKCcJ0
「聞きたくないわ……春香」

「ううん、お願い聞いて」

春香の声は震えていた。
以下略



5: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 11:04:43.24 ID:baGQKCcJ0
「千早ちゃんなら、もっと素敵な人と出会えるよ」

本気で言っているのか。

「酷いわ……」
以下略



6: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 11:36:21.51 ID:baGQKCcJ0
「千早ちゃん……」

待っても、追いかけても、何度もすれ違うだけだろうとしても。
きっと、片思いとはそう言うことなのだろうけれど。
私から離れてしまうあなたを止められはしないから。
以下略



7: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 12:10:53.90 ID:baGQKCcJ0
「みんなと笑って過ごしたくてか……」

私は春香の足音が無くなってから、
無意識に携帯を取り出して、美希に連絡していた。

以下略



8: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 12:47:47.07 ID:baGQKCcJ0
「ひっ……く……うぁ……」

唇が震えてきて、先ほどまで喉の下でくすぶっていた感情が芽を出し始めた。
駄目なのだ。
春香じゃないと。
以下略



9: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 13:13:43.47 ID:baGQKCcJ0
『……あ、監督に呼ばれてる……もお、はいはーい。 千早さん、後でまたかけるからっ……一人で、大丈夫?』

「……ええ、大丈夫。ありがとう」

携帯を切る。
以下略



10: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 14:15:50.97 ID:baGQKCcJ0
それから春香とほとんど話さない日が1週間程続いた。
前は、二人が会える日は、いつも夜遅くに事務所で待ち合わせていた。
春香からの着信が何度かあったけれど、それには返事をしなかった。
私は今までと同じように忙しいから仕方がないと納得させていた。

以下略



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