10:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:12:53.26 ID:kmZ4QHJb0
◆その2 鶇と千棘
「親友って何よー! ばかもやしー!」
トレードマークの真っ赤なリボンと同じくらいに頬を紅く染めながら、
わたし桐崎千棘はあの鈍感でどうしようもない馬鹿を探し求めてウロウロと彷徨っていた。
足元がふわふわして、まるで半分宙に浮いているみたいですごく気持ちがいい。あとはここに楽さえいれば言うことはない。
だけどあいつはわたしのことを……親友だって!
こうなったらとっ捕まえて、親友じゃなくて恋人だって言わせてやる!
ふと隣を見ればふらふらと近付いてくる鶫の姿。この二人でかかれば、あんなもやしっこなんてひとたまりも…。
「鶫、あんたは木の上から楽を探して。わたしはこのままぐるっと境内の周りを見てくるから」
「わかりました、お嬢。今年こそ、あの柔らかそうな唇を……」
見たこともない笑みを浮かべて、鶇はあっという間に木立の向こうに消えていった。わたしもあんな火照った顔をしてるのだろうか。
ともかく楽を探さないと。
そう思って顔を上げた瞬間、鶫の悲鳴が聞こえた。
恐怖でも、驚きでも、ましてや断末魔の叫びでもない悲鳴。
鶫……!
ゆらゆらとリボンを揺らしながら、急ぎ足ならぬ千鳥足で木々の間を抜けていく。
ふわふわ、ふわふわ。
木立を抜けたその先に、大きな胸を惜しげもなくさらけ出し、あられもなく両脚をだらりと広げた姿で鶫が横たわっていた。
惨劇を連想させるその光景とは裏腹に、鶫は恍惚の表情を浮かべ、口からは涎を垂らしている。
黒虎のコードネームで知られ、アメリカの裏社会を震え上がらせた凄腕のヒットマンの面影は当然そこには微塵もない。
「つ……鶫……と、楽……?」
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