42: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:03:43.52 ID:TNu+XPfeO
そういえば、この子はどこに住んでいるのだろう。
「都内だよ。別に歩いて行けるほどではないけど、遠くもない」
なら、一万円ほど渡しておけば充分足りるか。
43: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:05:22.68 ID:TNu+XPfeO
彼女は、乗り込もうと一歩を踏み出し、そこで一瞬止まって、こちらへ顔を向け――
何を思ったか、僕に抱き着いてきた。
彼女の左手は僕の右手と絡み合い、指が交差する。
44: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:07:46.95 ID:TNu+XPfeO
呆気に取られる僕を放ったらかして、バタンと扉の閉まる音が響き、タクシーが進み出す。
豆粒ほどの大きさになるまで、しばらく見詰め続けたのち、ハッと我に返って息を吐―つ―いた。
実に不思議な少女だったが……僕もさっさと帰って寝ることにしよう。
45: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:09:26.26 ID:TNu+XPfeO
最初は戸惑いこそすれ、結果的には中々ない経験をさせて貰ったと思う。
何の面白味もない生活を日々繰り返している僕に、一種のアクセントを与えてくれたのは間違いない。
円光と云う行為の是非は兎も角として。
46: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:10:42.93 ID:TNu+XPfeO
つらつらと反芻していると、車が車線を変えた。
前方の路肩に、扉を開けたタクシーが停まっているのだ。
客待ちか、はたまた客を降ろしたところか。
47: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:11:39.57 ID:TNu+XPfeO
そして、ガードレールを挟んだ歩道には、あの少女の姿が。
隣には、見るからに酔っぱらっている、頭頂がバーコード状になったデブオヤジ。
何かの誤りではないかと、刮目したが。
48: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:12:45.07 ID:TNu+XPfeO
あのオヤジと寝るのが積極的選択なのか、消極的なそれなのかは判らない。
しかし確実に言えること。
僕の右手にほんのりと感触を残した彼女の指が、今度はあのオヤジに絡み付くのだ。
49: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:13:26.47 ID:TNu+XPfeO
金で買う男女の交わりは、愛し合うカップルの営みとはまるで違う。
乱暴な捕食、或いは、道具での処理に似ている。
金を笠に着た、辱め。
50: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/16(火) 22:14:37.15 ID:TNu+XPfeO
止せばいいのに、その光景が頭の中へ浮かんできてしまった。
胸焼けに似た強烈な吐き気を憶え、必死に抑え込む。
大の大人が車内で吐くわけにはいかない。沽券に関わる。
51: ◆SHIBURINzgLf[sage !蒼_res]
2015/06/16(火) 22:17:19.84 ID:TNu+XPfeO
これで前半を終えました。
明日はアイチャレ最終Rでどうなるかわからないので、
次回は明後日ということにしておいてください。
52:名無しNIPPER[sage]
2015/06/17(水) 00:29:10.01 ID:Hk3xxkcWo
ああ^〜いいっすね^〜
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