232:名無しNIPPER[saga]
2015/06/30(火) 00:26:50.84 ID:oqH+Nm+DO
それが分からないわけでもないだろうに。抑えきれない苛立ち。歯を強く噛み締める。暗い室内にギリッという嫌な音が響いた。
「供給ラインの方は止まりました?」
『占拠と同時にね。後は施設を取り返すだけなんだけど……』
タイミングが悪かった。ちょうど、トウキョウ租界を束ねるコーネリア・リ・ブリタニア総督が、日本解放戦線の本拠地があると目されるナリタ連山方面へ視察に出ていたのだ。
防衛機能の低下したところを、敵は正確に狙ってきた。おそらくは偶然だったのだろうが、現実は相手に有利な方へ動いている。ブリタニア軍の抵抗力が低下していると知った周囲の反抗勢力が、続々と集結してしまった。
『あーあ。こっちの<サザーランド>はあと四騎。駄目だね、こりゃ』
他人事のようなロイドの口振りが、スザクを苛つかせる。彼からしてみれば、他の部隊などさっさと撤退してもらいたいくらいなのだろう。
「…………」
苛つく理由はもう一つあった。劇薬が流されれば、水道水はトウキョウ租界へ向かっていく。しかし、ラインは既にカットされている。ブリタニア人が危険に晒されることはない。
だが、その周囲に住んでいるイレヴン──日本人は違う。ゲットーでの生活用水は、租界へ行くはずの物を拝借して賄われているのだ。何もしらない人々は劇薬入りの水を飲む事になる。
日本人がブリタニア人に向けて放った矢は、日本人に突き刺さる。
「…………」
焦燥感が膨れる。危機感が大きくなる。
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