625: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:30:26.91 ID:rpLvuEADO
「……来ないの?」
一〇メートルほど進んだ所でカレンはまたも立ち止まり、再度振り向いた。不機嫌度の上昇はとどまることを知らず、自身の行動選択がことごとく間違っている事をライは思い知った。
近寄り難い空気を全周囲に向けて放出しながら、来ないのかと言われても困る。
はっきり言って怖い。
制御不能になった<無頼>が突撃してきた時よりも遥かに恐ろしい。ライの足は地面に接着でもされたかのように動かない。どうしたらいいのか。
「僕はこれから生徒会室へ行くんだが」
「知ってるわよ」
だから? とでも言うようにカレンは目を細めた。
今の今まで彼女は行き先について何一つ明言していない。無理に付いて行っても不興を買うかもしれないと、そのための確認だったのだが、また失敗してしまったらしい。
「君も行くのか」
カレンは普段、こんな早い時間に登校してこない。昨日の様に運転手付きの送迎車で現れ、友人の女子生徒や親衛隊の男子生徒から熱烈なアプローチを受けながら教室へ向かう。
だから今日も、教室で適当に時間を潰すのだろうと思っていた。
「嫌なの?」
どうやら違うらしい。なんと言えば、どう動けば正解なのか皆目見当が付かない。
ライにとってはブリタニア軍の包囲を突破する事より、目の前の少女の機嫌を取る事の方が遥かに難しかった。
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