826: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/05(木) 11:18:45.09 ID:+RjyVImDO
 「…………」 
  
  
 ライは首を傾げた。ブリタニアでは近親との結婚は出来ないはずだ。なにか特殊で複雑な家庭事情があるのかもしれない。 
  
  
 「結婚なんてよく分からなかったのに、こういうドレスに憧れてね……」 
  
  
 「そうなのか」 
  
  
 結婚式というのは女性にとって人生有数の晴れ舞台だ。好意を寄せ合っている異性と将来を誓い合う儀式なのだから、そこに憧れを向けるのはライにも理解できる。 
  
  
 なにせ、恋愛物の小説は大抵、結婚式の場面で大円団を迎えるからだ。 
  
  
 シャーリーはもう結婚が可能な年齢である。ウェディングドレスという象徴的なアイテムに特別な感情を持つのは、ある種当然のことだ。 
  
  
 「いつも思ってたんだ。いつか着てみたいなあって」 
  
  
 「具体的な将来設計を持つのは良いことだ」 
  
  
 ライのコメントは野暮そのものだった。 
  
  
 幼い頃の思い出を呟いていたシャーリーの声が止まる。ガラスに映っている彼女の表情が羞恥に染まった。耳が真っ赤になっているのが後ろからでも分かる。 
  
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