970: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/12/01(火) 08:53:45.67 ID:IN4redvDO
王の力は人を孤独にする。そうC.C.は言った。正しいと思う。
今のライ自身が何よりの証拠だ。記憶を無くし、探してくれる家族や知人もいない。今は周囲に恵まれているが、それすら壊してしまいかねない力を目覚めさせてしまった。
孤独。まさにそうだ。自分には──なにも無い。
世界が無色に見えるのがその証拠だ。まったく、C.C.の言う通りだと思った。
「お前には力がある」
「歪んだ力だ」
「そうかもしれない。だが、強大な力だ。その選択一つで世界を変えてしまえるほどの」
「そんな力はいらない。世界に通用するような力なんて必要無いんだ。僕は……」
普通でありたかった。
あの学園に通っているような、普通の人間だ。友達と遊んで、テストに憂鬱になって、進路に悩んで、ままならない恋をして。そういう人生を歩みたかった。
なのに、何一つ無い。
友達などいない。テストはさしたる脅威じゃない。現状では進路も閉ざされている。恋なんて欠片どころか粒子一つ分さえ分からない。
結局は無理だったということだろう。認めるしかない。
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