過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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461:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:31:08.93 ID:3q9LfLs3O
とはいえ、葉山先輩が雪ノ下先輩と付き合っていないからといってわたしとの距離が近くなるわけでもない。ただの気休めだ。
あとついでに先輩も、結衣先輩、雪ノ下先輩、どちらともまだ付き合ってはいないみたいだ。
あの三人は近くで見てよくわかったけど、なんか……危うい。お互いが尊重しあってるけど、微妙なバランスの上に関係が成り立っているように思う。
462:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:32:48.89 ID:3q9LfLs3O
姉さんにもう見抜かれた。私がいかに甘えているか、生徒会長の役割を果たせていないかを。
馬鹿笑いをしていると思ったら、どうやら議事録を読んでいたようだ。姉さんであれば現状を把握するにはそれで十分だったらしい。
463:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:33:34.67 ID:3q9LfLs3O
一色さんを筆頭に別れの挨拶が行われ、解散の運びとなった。
姉さんも一緒に六人でコミュニティセンターを出ると、寒々とした風が足元を吹き抜けた。
ふと空を見上げると、曇に覆われているのかいつもなら見えているオリオン座も月も見えなかった。
464:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:34:18.23 ID:3q9LfLs3O
「サッカー部のことだし、いろはだけで十分だよ」
「わ、わかりました。行きますー」
「オーケー。というわけだから、みんな、また明日」
465:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:34:56.11 ID:3q9LfLs3O
私は、葉山君はそういったことを避けているのだとばかり思っていた。
彼は今も昔もみんなの葉山隼人で、人の輪の中心にいて、いつも期待に応えてきた人だ。
だから、特定の人と噂になりかねないような行為は極力避けてきたはずだ。
466:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:35:49.60 ID:3q9LfLs3O
姉さんがいるので、二人に一緒に帰ろうとは言えなかった。
「じゃ、じゃああたしたちも帰ろっか」
「……おお、そうだな。またな」
467:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:36:32.88 ID:3q9LfLs3O
駅が見えてきたあたりで姉さんは立ち止まり、私に向かって振り向くとゆっくり口を開いた。
「雪乃ちゃんは生徒会長になってどうしたかったの?」
来た。こういうことを言われるとは思っていた。だから、言葉に力を、目に意思を込めて姉さんを正面から見据え、伝える。
468:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:37:04.89 ID:3q9LfLs3O
「違うでしょう?雪乃ちゃんにやりたいことなんて、あるの?」
「……違わない。私が、自分の意思で、そう決めて……」
「自分で決めた?そんなこと本気で言ってるの?雪乃ちゃん」
469:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:37:47.68 ID:3q9LfLs3O
彼が考えてくれた、用意してくれた新たな居場所を心地好く感じているのは事実だから。
二人と離れることも覚悟していたはずなのに、甘えてしまって三人が自然に居られる場所にすがりついたのは事実だから。
一緒に居るのに、理由なんか一緒に居たいからで十分だ。なのに、その意思を言葉にできず、伝えることができず、私は建前を、居場所を求めた。
470:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:38:20.67 ID:3q9LfLs3O
そう言いたいのに、吐き出されるのは空気だけで言葉にはなってくれない。
「違わないよ。議事録見たら今日の会議でも、雪乃ちゃんが決断できないから比企谷君に助けてもらって、隼人にフォローしてもらって。よかったね、みんなが守ってくれてるよ」
「私は……」
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