過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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532:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:05:02.46 ID:k1AwEidto
小学生が参加する日、コミュニティセンターに行く前、いつものように一旦生徒会室に集合することになっていた。
教室で由比ヶ浜を待っていると先に行っててと言われたので、一人で生徒会室に向かっている。最初は戸惑いしかなかった道のりだが、今は特に違和感もなく歩いていることに気がついた。
533:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:05:37.23 ID:k1AwEidto
だが嬉しかったり楽しかったりした良い記憶は、その中にあった小さな違和感や疑問だけが削り取られ、美化された状態で残る。
これは余計な機能だ。そのせいで、楽しいだけではなかったはずなのに、ふとしたときにあの頃に戻りたいと考えてしまう。
斜陽の中に佇む、真っ直ぐな少女が頭に浮かんで、消えた。
534:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:06:07.06 ID:k1AwEidto
雪ノ下は今スイッチが入ったかのように、突然ビクッと体を震わせると、ようやく俺と目を合わせ口を開いた。
「び、びっくりした……。いつの間に入ってきたの?」
「いや、ごく普通に扉開けて入ってきたけど……挨拶もしたぞ、一応」
535:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:06:45.78 ID:k1AwEidto
「ええ、このぐらい平気よ。ボーッとしてたのは別。ちょっと考え事をしていたから」
「そうか、ならいいんだけどよ。お前の大丈夫は、信じていいもんなのかどうか……。前科あるからな、お前」
前も大丈夫と言いつつ、出てこられなくなるまで拗らせたのを忘れてないぞ、俺は。
536:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:08:20.28 ID:k1AwEidto
「まぁ、今はそうだな……」
安易に否定の言葉を吐けないほど状況は逼迫している。今の雪ノ下に気休めの言葉をかけたところで楽にはならないだろう。
黙ってしまった雪ノ下を眺めていると、やがて静かに、懺悔ともとれる言葉を呟いた。
537:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:09:04.05 ID:k1AwEidto
個人の責任で終わらせるつもりも、このまま大人しく見ているつもりもない。
それでも、その職にある雪ノ下に責任を感じるなというのは無理な話だ。そんな適当な奴でないことは俺もよく知っている。
「ねぇ、比企谷君」
538:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:09:50.39 ID:k1AwEidto
「いえ……。私も、同じだったわ……。比企谷君を責めることなんて、そんなことしていい人間じゃない」
「なんだそれ。別にそんなのに資格はいらんだろ」
「ううん。私もわかってるから。姉さんにも言われた」
539:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:10:37.38 ID:k1AwEidto
「……ありがとう。やっぱり優しいのね、あなたは。では比企谷君はそうは見ていないということかしら。こんな私に失望していないの?」
雪ノ下の言葉を受け、思考を巡らせ己に問いかける。
失望しているのか?俺は。
540:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:11:09.15 ID:k1AwEidto
でも、それはまだ、雪ノ下から失われてはいない。だったら、俺は失望などしていないはずだ。
「して、ないと思う。俺はもう、お前に完璧さなんか求めてない。今のお前を、否定するつもりはない」
「複雑ね……。期待されていないということかしら」
541:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:12:01.44 ID:k1AwEidto
言葉なしには伝えられず、言葉があるから間違える。だったら俺は何がわかって、何をわかってもらえるというんだ。
「ごめんなさい。やっぱり今はまだ、自信が持てないわ……」
雪ノ下は諦めたように、俺の無言に対し返事をしてくれた。
542:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:12:48.06 ID:k1AwEidto
「やっはろー、ゆきのん、ヒッキー」
「こんにちはー」
「やあ」
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