過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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632:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:19:46.49 ID:Sv+8YbD5o
「わかってる。無理はしない」

会話が途切れ、由比ヶ浜は前を行く三人を追いかけようと体の向きを変える。そこで俺は言おうとしていたことを思い出し、慌てて引き留めた。

「あ、由比ヶ浜」
以下略



633:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:23:45.09 ID:Sv+8YbD5o
「俺から誘っておいてすまん、本当に」

「ううん……。いいの。みんなでこうやって、準備とかできるのも楽しいし。それにね、ちょっとずるいかなって思ってたから」

自らをずるいと評する、その言葉が気に掛かった。由比ヶ浜がずるい?ずるいのは捨てられた子犬のような目線をするときに感じるけど、それとは違う気がする。
以下略



634:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:25:06.68 ID:Sv+8YbD5o
あの約束はまだ生きている。俺はまだそう思っている。だからそんなものを代わりになんてできない。

「俺は、お前がそれでよくても……」

「あたしが最初に誘ったからとか、約束したからとかなら、もういいから」
以下略



635:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:26:47.95 ID:Sv+8YbD5o
とぼとぼと機械的に足を前へと運ぶ。

同情とか、気にして優しくしてんならそんなのはやめろ。これもまた俺の言葉だ。また俺は過去の俺に苦しめられている。自業自得としか言いようがない。

でも、それで学んだこともある。また始めることだってできると教わった。何度でも問い掛け直すことができると知った。
以下略



636:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:29:25.64 ID:Sv+8YbD5o


目の前で概ね予想通りの展開が繰り広げられている。が、海浜高校の玉縄を始めとした連中は予想以上の抵抗を見せた。

こちらで用意した代案の資料、そしてプレゼン。掴みとしては満点だったのではないかと思う。あの短時間でよくここまで仕上げられたものだ。これにはさすが雪ノ下と言わざるを得ない。
以下略



637:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:32:25.69 ID:Sv+8YbD5o
「それはみんなで解決していこうよ。そのための会議なんだから」

もう何度同じようなやり取りを繰り返しただろうか。

ふーっと溜め息をついて横を見ると、由比ヶ浜はハラハラしたような顔で雪ノ下を眺めている。
以下略



638:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:33:16.67 ID:Sv+8YbD5o
そんなことをすれば総武高校生徒会の、ひいては総武高校の悪評に繋がりかねない。

「これはフラッシュアイデアなんだけど二つプログラムを作るのであれば、二つの高校を混ぜて2グループ作るとか、そういうソリューションもあるんじゃないかな……」

「だからそういうのはもう時間が……。…………私たちはもう、演劇を単独でやれるだけの準備ができているの。足りない時間の中で無理矢理足並みを揃えて折衷案を実行したところで、良いものができるとは私は思えないわ」
以下略



639:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:34:30.19 ID:Sv+8YbD5o
「時間のことだったら今から新しい企画を走らせるより、元の一つに絞ってみんなで協力したほうが効率がいいし、コスパもよくなるんじゃないかな」

そうして議論がまた逆戻りしていく。……駄目か。これじゃ埒が明かねぇな。もういい加減決めようぜ、玉縄。

生徒会メンバーとはいえ、役職もなく生徒会長より間違いなく責任のない、末端の俺ならもう少し言えることもある。
以下略



640:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:35:39.21 ID:Sv+8YbD5o
そうだな玉縄。けどな、もう見えてる問題から目を逸らすことはしたくないんだ。

手遅れになってから誰かのせいにするとか、最終的に台無しにしてしまうとか、もうしたくないんだよ、俺は。

「……違うな。失敗したとき誰かのせいにして、全員のせいにして責任を分散させたら楽だからだろ。このまま誰も何も選ばずになあなあで本番を迎えて、みんなが決めたことだからって痛みを分け合う。そんなの、偽物だ」
以下略



641:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:36:42.77 ID:Sv+8YbD5o
これでも駄目なのかと、次の矢を放つため頭を働かせていると、これまで発言のなかった人間が静かに口を開いた。

「……もう、そういうのはやめにしないか」

大きい声ではなかったのに、場がしんと静まり返った。声の主はなおも話し続ける。
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