167:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 22:54:41.86 ID:mAIq3Puio
「よ」
列を外れた私に、かけられる声があった。
そちらを見たら、佐倉杏子がいた。
168:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 22:55:31.33 ID:mAIq3Puio
「人、多いね」
何となく私と杏子は、会場の外に。
まだ時間があるというのもそうだけれど。
169:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 22:56:27.09 ID:mAIq3Puio
「マミの奴も、もうすぐ来るってさ」
そう言って杏子も、懐から携帯を取り出した。
ちょっと珍しいなと思う。
170:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 22:57:40.67 ID:mAIq3Puio
告別式の作法は、あまり知らなかった。
私はただ式の間、ずっと考えていた。
壇に飾られた遺影と、横たわる遺体。
171:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 22:58:22.39 ID:mAIq3Puio
そうこうしている間に、どんどん式は進んでいって。
お坊さんの読経は終わって、あとは出棺を残すのみとなっていた。
献花が机の上に並べられて。
172:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 22:59:28.57 ID:mAIq3Puio
それから、色々な人が、色々な花を入れていった。
たちまち棺は彩りに満ちて。
顔だけを残して、美樹さやかは花の布団に包まれていた。
173:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 23:00:20.63 ID:mAIq3Puio
「……バカ野郎」
そんな声が、近くから聞こえた。
佐倉杏子が、声を押し殺して涙を堪えていた。
174:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 23:01:04.95 ID:mAIq3Puio
「……はい」
横から、何かが声と一緒に差し出された。
それは新品らしいハンカチだった。
175:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 23:03:26.53 ID:mAIq3Puio
式を終わって、主をなくしたその場を離れて。
どこへ行くでもなく外で黄昏れていた私に、佐倉杏子が言った。
「火葬場ってさ。
176:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 23:04:10.29 ID:mAIq3Puio
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