7:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 11:59:05.48 ID:YMdcm1g70
「城廻先輩、どもです」
片目をつむる彼女。痩せ形の体型で、背は標準。全女子が羨むスマートな体だと言っていい。
やや丸い輪郭に大きな瞳はよくマッチしていて、かわいい部類に入るだろう。
8:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:00:07.06 ID:YMdcm1g70
一色さんに、飲み物を買ってくると伝え、自販機のある外に出る。
冷たい空気が体を包むが、ぽかぽかになった私には、寒さは感じず、むしろ涼しく、気持ちがいい。
中に戻るとケージの後ろにあるベンチでぼんやりと座る一色さんの隣に腰かけた。
9:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:00:45.09 ID:YMdcm1g70
「ありますよね、そういうこと」
一色さんが納得したように深く頷く。「衝動的になにかやりたくなる時」
「私の場合は、現実逃避かもしれないなあ」
10:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:01:35.72 ID:YMdcm1g70
「別にいいと思いますよ。それくらいの逃避なら」
ゲームや漫画よりよほど良いですよ、と付け加え、ココアをちょびっとだけ口に運ぶ。
時折、聞こえる金属音は私たちの会話を盛り上げているようにも聞こえる。
11:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:02:17.53 ID:YMdcm1g70
週末明けて月曜日。二月も中旬に入り、試験まで約一週間というところ。
担当の教師が事務的に出席をとると、号令もなしに全員が勉強にとりかかる。
わたしはというと、眠気が残っているせいでどうしても気分が乗らず
12:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:03:42.36 ID:YMdcm1g70
慣習的に、第二学年の首席入学者が読むことになっているから人選に手間取ることはないだろう。
今日にでも取り掛かろう。私の記憶が正しければ、二年の首席合格は雪ノ下さんだったはず。
……そういえばあの部屋には比企谷くんもいるんだっけ…
13:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:04:27.26 ID:YMdcm1g70
すこし迷ってから、平塚先生に確認してみよう、と思った。職員室へ向かうために歩き出す。
「なにか御用ですか?」
背後からの声に、足がつんのめった。
14:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:05:35.74 ID:YMdcm1g70
カチリとロックの解除音が聞こえ、私は中に通された。
入ると、ひんやりとした空気に変わる。反射的にマフラーをきつく締めた。
「座っててください。紅茶を入れますね」
15:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:06:14.49 ID:YMdcm1g70
「比企谷くんは?」
「彼については存じありません。 しばらくしたら来ると思いますよ」
「そうなの」
16:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:07:03.37 ID:YMdcm1g70
と、誰かがこちらに向かってくるのが見える。
中肉中背。ポケットに手を突っ込み、擬音をつけるとしたら、ふらふらであろう力弱い歩み。
ぼんやりとしているのか私には気付いていない様子。
17:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:08:09.11 ID:YMdcm1g70
「あの…私のこと、知らない?」
「いえ。知っていますよ。城廻先輩でしょう」
「はーい」
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