過去ログ - 提督「この世界にいらないもの?」
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19:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:45:01.19 ID:NYc+OQMZ0
提督との甘い空想は夕立の無能さをただちに夕立自身に思わしめ、提督とそういう恋愛関係にはなれないのだと、その資格はないのだと夕立に突きつけてきた。淡い純真な期待こそがその期待を裏切る結果となる。

夕立の気持ちはその場で空転しどこにも行くことができなくなっていた。それを繰り返しているうちに、夕立は無気力さを身につけた。どうにもならないならば、どうにかしようと思わないことだと。

時雨や他の仲間と話す時の夕立は時雨からしてみても普段通りだった。その普段と変わらないピエロのように明るい笑みの裏側でどのような侵食が行われているかは気づきようもなかった。

夕立自身がその感傷を必ずや隠し通そうとしたためである。夕立にとって見れば「悲しい」と愁嘆場を演じて仲間の助けを得ようとするのは、どうしても安っぽく嘘っぽい気がして、慟哭することはしたくなかった。

夕立は矜持も恋も全てを失った気でいた。そんな夕立にとって何か確固としたものを欲するのは当然であって、それが喪失の悲しみであっても、これだけは確実に自分のものとしていたい独占したいということだったのだ。

一般に不幸の傷口を負ったならば、他人に見せびらかしたり、それが下品だというならば、そこはかとなく不幸を被ったことを匂わしたりするものだ。だから、それを夕立のような動機のもと完全に隠蔽されたりしたら、その傷口に気づくのは困難である。


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