過去ログ - 提督「この世界にいらないもの?」
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3:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:33:04.45 ID:NYc+OQMZ0
すごい運動能力だと感心はするが勘弁して欲しいのは時雨であって、夕立の勢いをそのまま受けて二人仲良く転倒するのは避けたいと思った。そもそも仲良く倒れるといっても、この場合夕立は時雨を下敷きにするのだから、背を痛めるのが時雨だけなのは確かであった。
その被害の不平等性にいち早く気付いた時雨は、自分でも驚く程なめらか自然的に衝撃準備のために腰を低くしていることに気付いた。不公平といった悪に立ち向かうときの人間は普段以上の実力を発揮するものだ。特にその不公平の被害者が自分の場合には。
自分の身を考えるなら、両足をすぐ手放して、夕立だけその勢いで吹っ飛ぶようにすればいい。時雨自身の被害は最小限になるのだが、それは可哀想だと思い直し、改めて両足を掴む握力を強めた。
うず高く積み上がった皿を手間どりながら運ぶ新米給仕の如くよたよたふらふらといくらかしたあと、バランスが取れた状態まで何とか至らしめた。夕立の足裏は時雨の膝の上、時雨の手のひらは夕立の膝の上。時雨は後方に重心を置き、夕立は前方に重心を置く、その重心の足し引きの末にゼロにまで戻ってきたという姿勢は、運動会の最終プログラム組体操でよく見る「サボテン」の形であった。
学校で学ぶことは将来何の役にも立たないとはよく聞くけれど、「サボテン」を学んでいなかったら、今時点で夕立か時雨のどちらかが痛い思いをしていただろう。サボテン万歳。サボテンが役立つならば、他のもっと実用性の高そうな学問もいつか役立つのかもしれないと希望がもてて、過去のあの退屈な授業にも今更ながらに満足感を覚えるのであった。
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