過去ログ - 万里花を愛でるニセコイSS「ハリコミ」
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名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:21:25.32 ID:X2fAk2+b0
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「あの、楽様……ちょっとお願いしたいことがあるのですが……」
「ん、何だ? 橘が頼みごとなんて珍しいな」
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名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:22:03.60 ID:X2fAk2+b0
「でもよ、だからって素人の俺たちが……」
「警察は今、深刻な人手不足なのです。町中で起きる、ヤクザとギャングの小競り合いの取り締まりもありますし……」
「うっ!」
「それに、町の平和を取り戻すために努力するのは、善良な市民の務めではありませんか」
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名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:23:18.28 ID:X2fAk2+b0
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「はい、楽様。お夜食ですわ」
「おお、アンパンと牛乳か。夜食っぽくはないけど、張り込みっぽいな!」
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名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:24:16.98 ID:X2fAk2+b0
「せっかく望遠鏡があるのですから、ロマンチックに天体観測でもしましょうか」
「いやいやいや。星は星でも、俺たちが見張るのは別のホシだからな」
窓際に据え付けられた望遠鏡の前に、二人並んで腰掛ける。レンズの向こうの一軒家には依然として人の気配はなかった。
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名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:25:55.12 ID:X2fAk2+b0
夜も更け、午後11時。強盗犯の隠れ家には何の動きもない。
気温が下がってきたので楽は毛布を取り出してくると、万里花の肩にかけてやってから自分もその隣に腰を下ろした。
「ありがとうございます、楽様――って!?」
毛布は一枚しかなかったために、楽は毛布を羽織ったまま、その片側を万里花の肩にかけてやったのだった。
以下略
7
:
名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:26:44.08 ID:X2fAk2+b0
「しかしさっきのアンパンは美味かったなー。橘の料理の腕前にはホント脱帽だぜ」
「そんな、楽様こそ。昨日のお弁当はとっても美味しかったですわ」
張り込みといっても犯人が現れなければすることは特にない。
暇を持て余す二人は、毎日交互に料理とお弁当を作りあっていたのだった。
以下略
8
:
名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:27:35.94 ID:X2fAk2+b0
「そうですわ!」
いいことを思いついた、とばかりにくるりと頭を回転させて、楽の顔を上目に見ながら万里花が言う。
「ハンバーグにしましょう! 今日、パンの生地をこねていて思ったのです。楽様と一緒に作ったらきっと楽しいに違いないですわ」
「ハンバーグか。たまにはいいかもな」
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9
:
名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:28:34.62 ID:X2fAk2+b0
午前1時。相変わらず異常なし。
眠い目をこすりながら、万里花が望遠鏡の覗き込んでいる。
「そろそろ寝た方がいいんじゃないか? 後は俺が見てるからさ」
元気そうに見えて、万里花は実は身体が弱いだけに、無理をさせるわけにはいかない。
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10
:
名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:29:20.99 ID:X2fAk2+b0
「ん?」
ふと気がつくと、隠れ家の窓に明かりが灯っていた。
警察は自分たちも含め距離をとって見張っているはずだから、これはつまり――。
「お、おい、橘、犯人が戻って――って」
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11
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名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:31:04.60 ID:X2fAk2+b0
「むにゃ……うう、朝……?」
寝ぼけた声を上げながら、万里花が目を覚ましたのは布団の上。
目の前には、愛しい彼の寝顔。
以下略
12
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名無しNIPPER
2015/08/07(金) 00:31:35.44 ID:X2fAk2+b0
「あっ!」
しょんぼりしていた万里花が突然大声を上げる。
「こ、今度は何だ?」
「事件が解決したということは、この張り込みもおしまいですか?」
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