48: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/08/24(月) 09:58:10.14 ID:aYmvm1JN0
一か八かだ。ここで決めないと勝ち目がなくなる。
優位に立っていたはずなのに劣勢に追い込まれていたのはあたしのほうだった。
練度の差――地力の差が出ている。それでも覆せないほどの差じゃない、はず。
神通が最初の砲撃で鳥海の後部主砲二基と魚雷を使用不能にしたと告げてくる。
だけど二斉射目も三斉射目も完全に外れていた。
沈みかけの深海棲艦が尋常じゃない回避を見せ続けて逃げ切った時のような理不尽さを思い出す。
そこに鳥海の砲撃が左右、そして後方に落ちる。直進しなかったら当たりそうな位置に。
仕留め損ねてるけど今度こそ――。
「げっ!」
あたしの目に飛び込んできたのは白い雷跡だった。
このタイミングで届くってことは減速してからすぐに発射したとしか思えない。
訓練用の魚雷は酸素を使わないから航跡がはっきりと見える――が、そんなのは問題じゃねえ。
魚雷の進路が直撃コースに乗ってるのが問題なんだ。
「……やってくれたぜ」
さっきの砲撃も含めて、どこに回避しても命中が期待できる。鳥海の攻撃はそういう攻撃だった。
大幅に減速したのが今度は仇になった。
魚雷を避けようにも一度落とした速度が乗るまでタイムラグがある。
戦艦や空母ほどでないにしても重巡だって重量級になるんだ。
さっきの砲撃で大破判定を取れなかった段階で勝負は終わっていた。
訓練用の魚雷は炸裂しない。黒い影が足下をすり抜けていくのを見送った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
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