60: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/08/24(月) 10:08:45.65 ID:aYmvm1JN0
「さっき八つ当たりって言ったよな……それなら、あたしも謝っときたい。あたしはずっと鳥海に甘えてたんだよ」
不思議そうな顔の鳥海に胸の内を話す。
これが殴り合いの成果なら残念な気もするけど、ようやく分かった気がする。
あたしは鳥海に手を伸ばしたかったんじゃない。鳥海に手を伸ばしてもらいたかったんだ。
妹を引っ張るつもりが実際のところは甘えていた。
――鳥海が一緒にやってくれるなら大丈夫。あたし一人で決めたわけでも動くわけでもないから大丈夫。
あたしよりも鳥海のほうがしっかりしてたから、それで間違わないと思ってた。
「……そんなことないのに」
「あたしはそう思ってたんだよ。もし八つ当たりしたって気にしてるようなら忘れちまえよ。お互い様だろ?」
そう言っても鳥海はしばらく気にし続けてしまいそうだ。仕方ない、そういう性分なんだから。
でも鳥海は変わった。案外、本当に気にしないかもしれない。
そして今のあたしも変わろうとしてる……うん、まだ変わってないな。そうなろうとしてる途中なだけで。
「あたしらは少しだけ変わって、たぶんそれで少しよくなった。どうせ完璧じゃないしいいだろ、こうやって良くしていくと思えばさ」
「……そうだね。でも素手でどうこうするのは痛いからもうやめようね?」
「だな。摩耶様でもあれは心が折れそうになるし」
あたしたちは笑いあった。
「そうだ。せっかく一緒に風呂入ってんだし、あたしが髪洗ってやるよ」
「いいよ、別に」
「いいからいいから。ちゃんと優しくするぜ?」
「じゃあ私も摩耶の髪を洗う。それならいいよ」
「決まりだな。あたしを大雑把なだけだと思うなよ」
あたしたちの距離はまだまだ変わっていく。
近くなるのか遠くなるのかは分からないけど、いざという時に手をつかめる距離でありたい。
大丈夫さ、きっとうまくやっていける。
あたしたちは姉妹なんだから。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
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