182: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:33:08.88 ID:s8phhYh5O
・・・・・・・・・・・・
183: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:33:38.24 ID:s8phhYh5O
歩いても歩いても、いつまでも縮まる気配のない距離が、不思議な感覚だ。
その青と白のコントラストは、作られてから時間が経ったようで、境目が曖昧になりつつあった。
凛は、ふと、自身の変化に気付く。
184: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:34:05.36 ID:s8phhYh5O
じきに、一筋の白線が描かれているカンバスは、高いビルによって遮られていく。
いつの間にやら、ターミナル駅近くまで来ていたのだ。周りを取り巻く人の密度は、加速度的に高まっている。
ついさっき学校を出たばかりではなかったか? まるで、数分のタイムリープをしたかのよう。
185: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:34:32.28 ID:s8phhYh5O
あの日のレッスンのあとの行動は早かった。
社長はすぐさま書類を作成し、凛とともに両親の許へ。
186: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:35:36.61 ID:s8phhYh5O
さておき。
アイドル“候補生”としての一歩を踏み出した凛は、あれから毎日、放課後は体力作りにジムへ通っている。
187: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:36:21.71 ID:s8phhYh5O
例の日曜日、三人が本格的に所属するとなったとき、社長は
「私は関係各所を飛び回るのに忙しくてねぇ! すまんがしばらくは各自で体力作りをしてくれたまえ!」
と豪快に笑っていた。
188: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:36:50.70 ID:s8phhYh5O
今日は一体どこを飛び回ってるんだろうね――凛はつらつらと思いながら、中央線に揺られている。
席へ坐った膝上には、復習を兼ねた、中間考査対策の暗記カードと問題集。
この時間の上り列車、快速東京行は空いていて、30分余の“通勤”中、勉強をするには丁度良い。
189: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:37:21.27 ID:s8phhYh5O
しかし集中していると、刻が経つのはあっという間。
気付けば、電車は新宿を既に発ち、千駄ヶ谷を通過しようかというところだった。
窓の外では、首都高速4号を並走する自動車が列車に追い抜かれ、ゆっくりと後方へ見えなくなっていく。
190: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:38:04.04 ID:s8phhYh5O
――
「おはようございまーす」
191: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:38:52.65 ID:s8phhYh5O
「社長、今日は行脚してないんですか?」
凛が二人へ右手を挙げて挨拶しつつ、彼女らの対面に腰掛ける社長に訊くと、当の本人は大きく笑った。
「はっはっは、私だってたまには戻ってくるさ。今日はちょっと方針を固めようと思ってね」
879Res/463.15 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。