過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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218: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:01:19.75 ID:s8phhYh5O
「な、何とか……ね……」

ミネラルウォーターを何度も呷ってから、凛は気丈に答えた。

しかしペットボトルを持つ腕は、その空になった軽い容器を持ち上げることすら叶わず――
以下略



219: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:02:02.05 ID:s8phhYh5O
当の未央は、首の辺りをタオルで拭いながら、やや目を丸くする。

「私はむしろ、しぶりんのガッツにびっくりしたよ? 普段の澄ましてる姿からは想像もつかない迫力だった」

「そりゃ……私だけ出来てなかったんだから当然でしょ」
以下略



220: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:02:31.97 ID:s8phhYh5O
「私……このままでやっていけるのかな……」

ようやくウェアの両袖から腕を抜いた凛が、独り、ロッカーの中へ小さく呟いた。

弱気の言葉がついつい口をついてしまう。
以下略



221: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:03:15.42 ID:s8phhYh5O

往きと同じ道を同じメンバーで同じように戻る。

凛たちが事務所のソファに身を沈めると、ちひろが甘くて薫りよいアイスココアを持ってきてくれた。

以下略



222: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:03:42.65 ID:s8phhYh5O
「あ゛〜〜……おいひい……」

ビールを飲んだ親父のような声で未央が唸り、凛と卯月は揃って大きく首肯を添える。

社長や男性陣はパーテーションの向こうで何かをしているようだが、今の三人にはどうでもいいことだ。
以下略



223: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:04:53.92 ID:s8phhYh5O
「とんでもない。女の子にとって、運動後の糖分は麻薬にも等しい。ただそれだけのことですよ」

ちひろは我関せずと云うかの如く、目を瞑り、しれっと淡白に返答した。

社長はこめかみをぽりぽりと掻いてから、アイドルに告げる。
以下略



224: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:05:34.55 ID:s8phhYh5O


――

少々時間を巻き戻し、ここはレッスンスタジオ。
以下略



225: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:06:02.39 ID:s8phhYh5O
「……いいんですか?」

そんな彼女らの様子を眺めている男性陣のうち、Pが顔を社長へ向けて、小声で問うた。

つい今しがた、社長が明にレッスンの継続を許可したことについてだ。
以下略



226: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:06:32.31 ID:s8phhYh5O
「しっかしまー、傍から見てる以上にアイドルってのは体力勝負なんだな」

パイプ椅子に浅く座り、脚を投げ出しつつ窓の向こうを見ているスキンヘッドの鏷が、感心したように呟いた。

部屋の中だと云うのにサングラスを外さない、不思議な男。
以下略



227: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:08:29.33 ID:s8phhYh5O

奇異な男二人をそっちのけに、Pは、凛へ目を奪われていた。

その『沈着―クール―』を体現した美しい少女。

以下略



228: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:09:00.98 ID:s8phhYh5O
しばらく無言でレッスンの様子を眺めていたが、やおら、社長が振り向いた。

「さて、プロデューサーの卵諸君。目の前に、これまたアイドルの卵の三人がいる。
 今日、スタジオまで君たちを同行させたのは、担当する子の方向性を見出して欲しいからだ」

以下略



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