過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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24: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:20:32.07 ID:s8phhYh5O

彼女は普段から元気溌剌だった。

クラスでも随一のムードメーカーであり、笑わせ屋であり、輪の中心にいた。

以下略



25: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:21:01.52 ID:s8phhYh5O
正直、彼女自身は結果に全く期待していなかった。

何故なら、柄にもなくあまりに緊張し過ぎて、本番で色々とトチったからだ。

会場へ向かっている時は、まるで心臓が口から飛び出るのではないかと思うくらいどきどきしていたし、
以下略



26: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:21:31.62 ID:s8phhYh5O
震える手で封を切り、おそるおそる中身を出す。

そこには『技量ではなく内面を見て判断し、ティンときたから合格』と良く判らない理由が綴られており――

その挨拶状の下に、しっかり整えられた様々な書類が束になっている。
以下略



27: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:22:02.09 ID:s8phhYh5O


・・・・・・

年度が変わり、新しい一年が始まってから一箇月ほどが過ぎた平日の午後。
以下略



28: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:22:32.32 ID:s8phhYh5O

大型連休が明け、世間には閉塞した空気が漂っている。

少女は気怠そうに、茶色いレザーのスクールバッグを肩へ廻した。

以下略



29: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:23:02.34 ID:s8phhYh5O
地震で、人生の価値観に僅かな変動があったとはいえ、結局それも二箇月弱が経って薄れてきた。

……そもそも、災害に対する現実感がほとんど無い。

発生当時は中学卒業直前の自宅学習日だったが、家の周辺地域は地盤が極めて強固なので、さほど揺れなかった。
以下略



30: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:23:33.48 ID:s8phhYh5O

この春から高校へ進学した彼女は、幾分か、変化への期待があった。

新しい自分への、渇望があった。

以下略



31: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:24:02.01 ID:s8phhYh5O

そんな変わらない鬱屈したループから抜け出したくて、藻掻いて、ピアスを空けてみた。

中学生とは違うのだ、と自らの身体に刻み付けたかった。

以下略



32: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:24:35.44 ID:s8phhYh5O

そのまま、ターミナルの駅ビルでアパレルや靴、アロマなどを、大して注目もせず視てぶらぶらしていると、ふと
一階から四階までぶち抜くエスカレーターから、妙な出で立ちをした、初老の男性が歩いてくるのを視認した。

その態―なり―を半ば不躾な視線で凝視する少女に、男性が気付く。
以下略



33: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:26:31.76 ID:s8phhYh5O


――

駅ビル二階の、明るく賑やかなカフェ。
以下略



34: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:27:02.06 ID:s8phhYh5O
彼女自身、同年代の他の娘よりはそれなりに可愛いと云う自覚を持っているので、警戒心は多少ある。

だが、このような場所で、店の売り物に変な薬を盛られることもないだろう。

そう判断し、ゆっくりと、しかし怠そうにフォークを構えて「頂きます」と一口食べた。
以下略



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