過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
1- 20
471: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:27:46.15 ID:s8phhYh5O
「パラ、ドックス……?」

「そうだ。そのパラドックスは一見、正しいことを云っているように思えるんだよなぁ」

古代ギリシャ人を悩ませた有名な逆理。
以下略



472: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:28:25.67 ID:s8phhYh5O
10メートル先を秒速1メートルで歩く人間がいたとして、それを秒速3メートルで追い掛ければ――
5秒後には追い付いて、6秒後にはその人より2メートル先へ飛び出ている。

哲学的に考えれば袋小路へ陥りそうでも、数学的に考えれば至極単純なこと。

以下略



473: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:29:10.65 ID:s8phhYh5O

確かに、凛……いや俺たちはあのとき負けたが、打ち負かされること自体は、何ら恥じ入る必要などないと思う。

“打ち負かされたまま、立ち上がろうともせずにいる”――それこそが、恥ずべきことなんだ。

以下略



474: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:29:41.55 ID:s8phhYh5O

ただし。

一流の人間は、あらゆる努力を払って速やかに立ち上がろうと努める。

以下略



475: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:30:43.05 ID:s8phhYh5O

「速やかに……立ち上がる……」

凛が、やや哀し気な表情で繰り返した。きっと、ここしばらくの自分の体たらくに想い至っているのだろう。

以下略



476: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:31:10.62 ID:s8phhYh5O
「切り替えなきゃね。いつまでも腐ってちゃ……いけないんだ」

凛の心に、これまで心配をかけた人たち、そして見守ってくれた人たちへの、感謝と申し訳なさが押し寄せる。

察したPが、努めて明るく云い聞かせようと、凛の目を覗き込んだ。
以下略



477: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:32:08.23 ID:s8phhYh5O
「……ちょっとだけ、泣かせて貰っていい? 今更さ、悔しくて悔しくて……堪らなくなってきちゃった」

「……ああ。むしろ俺はあの刻、泣きも喚きもしなかった凛を妙だと感じたもんだ。泣いて泣いて洗い流そう」

「ふふっ、キザったらしいね……」
以下略



478: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:32:53.09 ID:s8phhYh5O
そのまま、Pさん留守番お願いします、とだけ告げて、小気味よいヒールの音とともに外へ消えていった。

ちひろのささやかな心遣い。

彼女を目で追っていた凛は、ゆっくりとした動作でPの方に向き直るうち、
以下略



479: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:33:29.22 ID:s8phhYh5O
Pはスポーツタオルで目の前の震える肩を覆い、ひたすら熱い放出を促す。

「すまんな、今回のことは、俺の力不足だ」

背中を擦ってやりながらそう云うと、凛は小刻みにかぶりを振った。
以下略



480:名無しNIPPER[sage !蒼_res]
2015/08/10(月) 06:40:58.27 ID:s8phhYh5O

いや日付変わってすぐ投下始めたのにもう六時ってどういうことだよ(真顔
ようやく半分くらいのところまで来ましたが副業&アイプロ最終日も走らないといけないので、
凛を泣かせたところでちょっと中断させてください
スマイルつかさをお迎えに行かなきゃいけないんですなんでもしまむら
以下略



481:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 06:44:31.11 ID:YywDWn+bo
乙です
すげえな


879Res/463.15 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice