過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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761: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:45:56.01 ID:3+pD+bLQo
ユニットの時は卯月を支えようと前面へ出て引っ張った。だが、その陰で卯月の存在感は薄れた。

逆にユニットを引っ張ろうとして、バネの瞬発力を使い切ってしまったから、凛
のソロのステージでは、いつもより少しだけ声の通りやダンスのキレが鈍かった。

以下略



762: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:46:28.43 ID:3+pD+bLQo
「その人に対して、凛は胸を張れるものを出せただろうか? 俺はそうは思わない」

――お前は今日、一期一会の意識を忘れていた。

Pは、言葉を濁さずにはっきりと断言した。
以下略



763: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:46:58.11 ID:3+pD+bLQo
Pは軽く、もう一回嘆息した。

「それは卯月ちゃんに頼まれたか?」

「――ッ!」
以下略



764: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:48:26.16 ID:3+pD+bLQo

フェス二日目。

昨日の雲は太平洋高気圧に押し出され、打って変わって快晴だ。

以下略



765: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:48:57.07 ID:3+pD+bLQo
凛が卯月を振り向く。

口を真一文字に引き、上下の唇を圧着してグロスを馴染ませている仕種は変顔となり、少しだけ面白い。

「卯月、今日はもう大丈夫そうだね」
以下略



766: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:49:29.87 ID:3+pD+bLQo
Pに映像を見せられて、ステージで演っていた自分では気付かないほど、卯月の影が薄くなっていたと判った。

卯月だって、もっと笑顔を振りまきたかっただろうに。

凛がどう云おうか迷っている間に、ニュージェネレーションへ、ステージ脇の待機へつくよう要請が降りた。
以下略



767: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:49:58.41 ID:3+pD+bLQo

演目を終えた凛たちに、大きな拍手と喝采が、屋上全体を揺るがすように響き渡った。

プレイバックして比べる必要がないほど、昨日とは反応が違う。

以下略



768: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:50:30.16 ID:3+pD+bLQo
投じた熱量に比例して結果が返ってくるわけではないこの不確定さに、凛は苛ついた。

そしてその『不確定さ』とは、アイドルとしての存在そのものにも関わってくることで。

もし昨日のような“ボタンの賭け違え”がステージではなく自身に降り掛かったら。
以下略



769: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:51:30.08 ID:3+pD+bLQo


――

夜、フェス出演者を集めて行なわれたデブリーフィングを終え、解散したのち。
以下略



770: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 21:52:07.55 ID:3+pD+bLQo
「ふぅ、数学終わり。あとは現国……」

背もたれに体重を預け、一つ嘆息した凛は、手許に転がる一口サイズの黒糖羊羹を剥いて頬張った。

『おもかげ』と書かれたそれは、黒砂糖の深い甘さと薫りが鼻へ抜け、南国のような夏の面影を思い起こさせる。
以下略



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