過去ログ - 八幡「想いを返す日」
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2: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:29:26.27 ID:17bnsS7c0
何かをされたら何かを返す、というのはきっと万国共通の文化だ。こと日本においても当然それは変わらない。
挨拶をすれば挨拶を返すし、手紙やメールが届けば返事をする。当たり前のことなのかもしれない。けれど、俺にとっては当たり前じゃなかった。
ふと気が付いた時には、返すという機会自体が無くなってしまっていたからだ。
そう、結局のところ経験不足。これに尽きる。だから現状の俺の悩みは、過去のツケを払っているようなものなのだ。
腕を組み、カレンダーとにらめっこの状態から、背後に向けて声を上げる。
以下略



3: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:32:00.69 ID:17bnsS7c0
ソファに脚を投げ出して座る小町に振り向きざまに聞く。読みかけの雑誌から面倒そうに顔を上げると、こちらから見えたのはうげーという嫌そうな顔だった。

「お兄ちゃん……そんな初めてチョコ貰った男子中学生みたいなこと聞かないでよ」

「うっせ。わからんもんはわからん。だから聞いてる」
以下略



4: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:34:05.23 ID:17bnsS7c0

「どしたの、お兄ちゃん?」

脳内で雪ノ下にばっさり切り捨てられる想像をしていた俺に向け、小町は気遣わしげに小首を傾げる。

以下略



5: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:37:32.58 ID:17bnsS7c0

「まあ、月並みな回答だけどお返しするものは何でもいいと思うよ?」

「そういうけどな」

以下略



6: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:39:37.62 ID:17bnsS7c0

「期待してるよ」

にこやかな笑顔でそんなことを言い残して、小町はするりと体をドアの隙間に滑り込ませ去っていった。リビングと廊下を隔てる、今まさに閉められたばかりの扉をただ見つめる。

以下略



7: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:41:37.92 ID:17bnsS7c0


季節は3月を迎え、単純に寒さが和らぐかと思えばそんなことはなく。
依然として朝晩の冷え込みは強く、日中はそれが幾分和らぐ。そんな気候がここ数日は続いていた。

以下略



8: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:44:30.12 ID:17bnsS7c0

「なに、どうした?」

「なんでもないんだけどね。卒業式も終わっちゃったから、それを寂しがってるのかなって」

以下略



9: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:49:45.78 ID:17bnsS7c0

自信満々とも言える俺の物言いに、戸塚は目を細めてくすりと笑った。無駄に艶っぽくて勘違いしたくなっちゃうから是非やめて欲しい。
でも勘違いしたい。いや違うな。させて下さいお願いします。(錯乱)
そのままふたり並んで座り、鉄製のフェンス越しに目の前で繰り広げられるテニス部員達のラリーの様子を眺める。

以下略



10: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:53:53.76 ID:17bnsS7c0

「これくらい?」

「戸塚って……モテるんだな」

以下略



11: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:56:11.75 ID:17bnsS7c0

「じゃあ、なに返すとかもう決めたか?」

「うーん、テニス部の子はお返しするの簡単なんだけど、知らない女の子にはもしかして返さないかもしれない」

以下略



12: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/17(月) 22:57:54.87 ID:17bnsS7c0

「八幡はさ、知ってる女の子から貰ったんでしょ?」

「ん、ああ」

以下略



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