6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:15:14.58 ID:rVNZ4GiQo
〜
「!」
シンクロニシティに近いもの、とでも言うのだろうか。
今日はやけに櫻子のことを考えてしまうと自分でも不思議に思っていた帰り道、自宅の前で偶然櫻子を発見した。こうして直接姿を見るのはどれくらいぶりだろうか。
私たちの家の前で誰かと話している。中腰になって話している相手は、小学校から帰ってきた所であろう楓だった。楓も今は立派な小学三年生だ。
「あっ、おねえちゃんなの!」
「えっ……」
こちらに気づいた楓が手を振ると、すぐに櫻子が振り返る。久しぶりに櫻子を見た私の第一印象は、また一段と背が大きくなっていたことに対する驚きだった。撫子さんにどんどん近づいている。
「ただいま楓。櫻子も」
「あ、うん、おかえり」
「久しぶりですわね。元気してました?」
「うん……元気だよ」
もじもじとセカンドバッグの持ち手をいじりながら、ちらとだけ目を合わせて櫻子は答えた。
私からすれば、そんな素っ気のない櫻子は元気があるとは言わない。うるさいくらい大きな声、生意気な態度、からかうような言葉振り。そんな “昔の櫻子” をついさっきまでよく思い出していた私にとっては、今のこの子が元気だとはあまり思えない。
「病気なんかしてませんわよね。勉強の方は大丈夫?」
「これでもちゃんとやってるよ。心配ないって」
「そう……偉いですわね」
形式的な会話。櫻子はあまり私に目を合わせないで、楓の方を見ている。その横顔からはどこか気まずそうな印象を受けた。
「楓とどんなお話をしてたんですの?」
「えっ……と……大したことじゃないよ」
「そう?」
「小学校楽しい? とか、そんなん」
「学校はお友達がたくさんいるから楽しいの♪」
「ふふ……よかったね」
楓の頭を撫でる櫻子。櫻子も大きくなったが楓も昔に比べればとても大きくなった。身長差的には昔とそんなに変わらない気もして、それがさっきまで思い出していた昔の櫻子の姿にリンクした。
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