過去ログ - 「Close to …side.Y」(オリジナルSS)
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17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:22:34.70 ID:t+SnPtR2o
「今日の授業で、一橋くん、詰まってたでしょう。私も、実はあそこ苦手だから……一緒に勉強したらいいかと思って」

「詰まってたところ? ってどこだっけ……」

「もう、ここよ」
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:23:00.87 ID:t+SnPtR2o
「ね、じゃあ、行きましょう?」

 私がそう言うと、一橋くんは鞄にノートや教科書を詰め、席を立った。


19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:23:32.67 ID:t+SnPtR2o
 図書室はさほど混んでいなかった。空いている勉強机に二人で並んで座った。
 試験前ということもあるし、混んでいたら喫茶店か、なんなら私の家に招待しようかと考えていたのだけれど。
 場所は図書室と色気がないし、空いているなりに人もいるけれど、ノートを広げて二人同じ問題を解くのはなんとも言えず甘やかな時間だった。
 バカなクラスメイトが、図書室にいなければいいけど。


20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:24:07.64 ID:t+SnPtR2o
 一橋くんが詰まっていた箇所を丁寧に噛み砕いて説明する。
 彼はバツが悪そうに笑って、頭をかいた。

「苦手って言ったけど、箱崎さん、わかりやすく教えられるくらいに理解してるじゃないか」

以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:26:36.34 ID:t+SnPtR2o
 私はとりあえず、二人が恋人として付き合ってないということにホッとした。
 それに、奈那のほうはともかく、一橋くんは彼女に対して「妹のような幼馴染」以上の感情を持っていないらしいこともわかった。
 私がちょっと身体を寄せたり、偶然を装って顔を近づけたりすると、
 少し身を引くところを見ても、よっぽど私のほうが女として意識されているみたいで嬉しい。

以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:27:25.57 ID:t+SnPtR2o
「あのさ、一橋くんがよければなんだけど」

「ああ、なに?」

「また時々、今日みたいに一緒に勉強しない?」
以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:28:10.06 ID:t+SnPtR2o
 それから、完全に日が落ちてしまう前に、図書室を出た。

「箱崎って、確か家そっちだっけ」

「あ……うん」
以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:28:55.13 ID:t+SnPtR2o
 ――――

 中間試験が終わった。しばらくのんびりできる、なんて周囲は浮かれているけれど、期末試験までは結構すぐだ。
 久しぶりに、一橋くんを誘おうと、私は放課のチャイムを待った。
 雨がザアザアと降っていたから、誘い文句は「雨宿りがてら、一緒に勉強はどう?」とでもしようかなんて考えながら。
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:29:47.60 ID:t+SnPtR2o
 一橋くんは私がもたもたしている間に、教室を出てしまったらしい。思わず舌打ちをしてしまう。

 すれ違う人、先を歩く背中に一橋くんの姿がないか気を配りつつ、雨の音が煙る廊下を足早に歩いて行く。
 結局、彼を見つけられたのは昇降口へ着いてからだった。

以下略



26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:32:27.57 ID:t+SnPtR2o
 ――――

「一橋くん、期末試験はどうだった?」

 こうして、彼に話しかけるのもずいぶん久しぶりな気がする。
以下略



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