過去ログ - 「Close to …side.Y」(オリジナルSS)
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20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:24:07.64 ID:t+SnPtR2o
 一橋くんが詰まっていた箇所を丁寧に噛み砕いて説明する。
 彼はバツが悪そうに笑って、頭をかいた。

「苦手って言ったけど、箱崎さん、わかりやすく教えられるくらいに理解してるじゃないか」

以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:26:36.34 ID:t+SnPtR2o
 私はとりあえず、二人が恋人として付き合ってないということにホッとした。
 それに、奈那のほうはともかく、一橋くんは彼女に対して「妹のような幼馴染」以上の感情を持っていないらしいこともわかった。
 私がちょっと身体を寄せたり、偶然を装って顔を近づけたりすると、
 少し身を引くところを見ても、よっぽど私のほうが女として意識されているみたいで嬉しい。

以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:27:25.57 ID:t+SnPtR2o
「あのさ、一橋くんがよければなんだけど」

「ああ、なに?」

「また時々、今日みたいに一緒に勉強しない?」
以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:28:10.06 ID:t+SnPtR2o
 それから、完全に日が落ちてしまう前に、図書室を出た。

「箱崎って、確か家そっちだっけ」

「あ……うん」
以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:28:55.13 ID:t+SnPtR2o
 ――――

 中間試験が終わった。しばらくのんびりできる、なんて周囲は浮かれているけれど、期末試験までは結構すぐだ。
 久しぶりに、一橋くんを誘おうと、私は放課のチャイムを待った。
 雨がザアザアと降っていたから、誘い文句は「雨宿りがてら、一緒に勉強はどう?」とでもしようかなんて考えながら。
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:29:47.60 ID:t+SnPtR2o
 一橋くんは私がもたもたしている間に、教室を出てしまったらしい。思わず舌打ちをしてしまう。

 すれ違う人、先を歩く背中に一橋くんの姿がないか気を配りつつ、雨の音が煙る廊下を足早に歩いて行く。
 結局、彼を見つけられたのは昇降口へ着いてからだった。

以下略



26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:32:27.57 ID:t+SnPtR2o
 ――――

「一橋くん、期末試験はどうだった?」

 こうして、彼に話しかけるのもずいぶん久しぶりな気がする。
以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:33:15.34 ID:t+SnPtR2o
 お互いの連絡先を交換してから二人で教室を出ると、ごく自然に並んで廊下を歩いた。
 昇降口に着くまで、ずっと期末試験の問題について話していたけれど、
 一橋くんからクソ真面目と思われていたらどうしようかと少し心配になる。
 それにしたって、私と彼との共通の話題なんて勉強と普段の学校生活くらいのもので、他に話しようもない気がするけど。


28:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:34:10.86 ID:t+SnPtR2o
「つーちゃーん!」

 校門へ差しかかると、いつだかのように陰から奈那が飛び出して、一橋くんにひっついた。

「ごきげんよう、秋柴さん」
以下略



29:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:34:44.89 ID:t+SnPtR2o
「じゃ、私こっちだから」

 挨拶もそこそこに私は踵を返して歩いて行った。

「おう、またな」
以下略



30:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:36:23.97 ID:t+SnPtR2o
 ――――


 私は遠くで、貴方を待つ。ずっと、ずっと待つ――。

以下略



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