過去ログ - 「Close to …side.Y」(オリジナルSS)
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43:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:48:52.85 ID:t+SnPtR2o
「あのさ、箱崎……」

「あ、うん……あの、お弁当、どうだった?」

「そのことなんだけど……あ、えと、弁当箱、洗って返すよ」
以下略



44:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:49:51.34 ID:t+SnPtR2o
「いや、そのさぁ……」

「も、もしかして、迷惑だった……?」

「迷惑というか、箱崎の負担になるだろ? 食費だってばかにならないだろうし」
以下略



45:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:50:53.48 ID:t+SnPtR2o
 ――――

 夏休みが明けてから、私の生活リズムは完全に変わった。それも、一橋くんを中心にして。
 朝は六時に起きて二人分のお弁当と、自分の朝食を平行して作り、食事と身繕いを済ませ、軽く部屋を掃除する。
 一橋くんが起きるのは七時から七時半の間なので、七時十五分には彼の家に着くように出発する。
以下略



46:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:51:46.59 ID:t+SnPtR2o
 一日の授業が終わって放課のチャイムが鳴ると、私は真っ先に彼のところへ行って、その日のお弁当の感想を聞く。
 おしゃべりしながら途中までだけど一緒に帰る。
 自分の家へ帰ってからは家事を済ませ、明日のお弁当のメニューを考えたり、料理の練習、余裕があれば勉強もする。

 充実した毎日だと思っていた。ある朝に、あの奈那と出くわすまでは。


47:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:52:44.43 ID:t+SnPtR2o
 いつものように二人分のお弁当を用意して、一橋くんの家の前へ着いたのは七時十四分だった。
 私が彼を待つべき場所に、小さな女の子の姿があった。
 この頃めっきり見なくなったのでほとんど忘れかけていたが、それが奈那だとわかった。

「……なにしてるの? 貴方」
以下略



48:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:53:15.59 ID:t+SnPtR2o
 私はそう言いつつも、一橋くんが嫌がっている。そんなことは――と、喉から胸元までが冷たくなる感覚がした。

「やめてほしいって、言ってました」

「嘘、一橋くんはそんなこと言わない」
以下略



49:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:54:05.69 ID:t+SnPtR2o
 思わず、奈那の肩に掴みかかりそうになる。
 すんでのところで止まったのは、玄関のドアから一橋くんが出てきたからだった。

「あっ、一橋くん……おはよう」

以下略



50:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:55:18.49 ID:t+SnPtR2o
 ――――

「あの、一橋くん……」

 放課のチャイムが鳴ってから、恐る恐る近づいた。
以下略



51:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:56:28.63 ID:t+SnPtR2o
 頭の後ろのほうで、思考するためのなにかが停滞しているようだった。
 喉元から胸が冷たくなった。なのに、目の周りや、鼻の辺りはやたらに熱くなった。

「あ……えと、うん、おめでとう。ごめんなさい、今まで……」

以下略



52:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:57:26.79 ID:t+SnPtR2o
 ――――

 気がつけば、目で追っている。姿が見えなくなっても、勝手に続きを想像してしまう。
 その隣に、自分を並べてみたりすると、ふと胸の辺りの空っぽに気づいてしまう。

以下略



53:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:58:29.67 ID:t+SnPtR2o
 一橋くんの部屋のカーテンが開くのを見届けると、踵を返して、学校へと向かう。
 お昼は今まで通り、独りで食べていたけど、この間、奈那ちゃんに誘われてからは一緒に食べるようになった。
 時々、一橋くんも交えて、三人でごはんを食べる。
 私は、三人でごはんを食べるときは、奈那ちゃんと一橋くんが話しているのを黙って聴いている。

以下略



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