過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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137: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 18:32:54.78 ID:iuS/I4U4o

 狭苦しい浴室で肌を打つシャワーを止めた。あたしは曇った鏡を手でこすり、中に映しだされたもう1人の自分に釘付けになる。肩にかかるくらいの髪の毛は緩やかな波を打ってたくさんの水粒を絡ませながら水を滴らせている。自分の顔をまじまじと見つめてみる。年齢は18歳だという。
 ふと、鏡から視線を移して自らの裸体に向ける。
 肌から滑り落ちるいくつもの雫は浴槽を打ち鳴らしている。そっと腹部に浮かんだ水滴を指でなぞり、滑らせる。行き着いた先は──

──傷跡。

 遠目からでは決して目立ちはしないものの、無数の古傷があたしの体に跋扈していた。胸部、上腹部、大腿部。
 幸い衣服や下着で隠れるような箇所が多かったが、その傷跡は確実にあたしの心にも刻まれていた。
 いつ付いたのかもわからない傷跡に触れ、思いを馳せる。
 18歳の女の肌ははたしてこんなに薄汚れているものなんだろうか。判断はつかない。牧瀬紅莉栖にそのことを聞く勇気もない。聞いてしまえばきっと彼女は悩むかもしれない。過去のあたしの生き様について伝えるべきなのか、と。
 鼻の奥がツンとして、思わず泣きじゃくりたい気持ちが浮かんでくる。顔を歪ませて手のひらを口元に開けてそっとしのび泣く。
 思いっきり泣き叫びたいけど、そうしてしまったらきっと彼女は心配するだろう。

 どれくらいそうしていただろう。気づけば半透明の薄いドアを隔ててかすかに人の気配がした。


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